BOOK 本と言葉。

『この人の閾』収録「夏の終わりの林の中」保坂和志(新潮文庫)Book 24 / May 20, 2016

This Month Theme外に出たくなる本。

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友人であり中年を迎えつつある男女二人が、白金台にある「自然教育園」を散歩するだけの話。保坂作品の多くと同じように風景と会話が延々と続く。風景は徹底的に描かれる。林に踏み入れた時の雰囲気、木々や草花の名前とその描写、水の流れ、鳥、光、影、音……。鎌倉で育った二人が、都会に突如現れる風景の中で立ち上がる疑問を投げかけ合いながら、時に立ち止まり、腰を下ろし、また歩き出す。それは僕らの原始の風景にも思え、そしてまたその時間の流れを手繰り寄せたいとさえ思えてくる。


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大阪府豊中市の緑地公園そばにあるマンションのなかの小さな部屋で、新刊書籍と古本の販売・買取を営む。小説、アートブック、写真集、絵本、リトルプレスを中心に取り扱い、雑貨と「植物課」セレクトのgreenも販売している。6月には店を移転し(住所は豊中市寺内2-12-1-1F)不定期でオープンする花屋を併設予定。▷大阪府豊中市寺内2-3-9 グリーンエクセル302

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