Music

土曜の朝と日曜の夜の音楽。 今月の選曲家/坂東祐大 vol.1December 03, 2021

December.03 – December.09, 2021

Saturday Morning

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Title.
Anamorfosi
Artist.
Salvatore Sciarrino
恥ずかしながらカレンダー通りの生活をしていないので、「今日、何曜日?」と聞かれても答えられないことがしばしばあります。もし、自分の生活がカレンダー通りで回っていて『&Premium』に特集されるような、おしゃれで充実した暮らしをしていたら! というところで選曲してみました。
イタリアを代表する現代音楽の作曲家、サルヴァトーレ・シャリーノのピアノ作品です。有名な楽曲、2曲のマッシュアップになっていて、一つはラヴェルの「水の戯れ」、もう一つは映画でも有名なナンバー「雨に唄えば」が巧みに配置されています。シャリーノについて話始めるとおそらく文字数が全く足りなくなってしまうのですが(笑)、もし興味持った方はぜひ彼の他の作品も聞いてもらえると「アナモルフォージ」とはまた違う豊潤な世界を聴くことができると思います。
アルバム『Sciarrino:Complete Piano Works』収録。

Sunday Night

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Title.
Bruyères (Home Session)
Artist.
Víkingur Ólafsson
最近話題になることも多いピアニスト、ヴィキングル・オラフソンによるドビュッシーの練習曲集 第二巻第五曲「ヒースの茂る荒地」。“Home session”とタイトルがあるように自宅のアップライトピアノで録音されたそうです。

きちんと勉強すればするほど、ドビュッシーという作曲家は底知れない発想と作曲の巧みさを持ち合わせた驚異的な作曲家だと思い知らされるのですが、この録音に関していうと、作品そのものよりも「フェルトピアノでドビュッシー! その発想は思いつきそうで思いつかなかった!」と作曲家よりもピアニストのオラフソンに妙なライバル心を抱いてしまいました(笑)。
EP『Reflections Pt. 1 / Debussy: Bruyères』収録。



&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

音楽好きの“選曲家”たちが月替わりで登場し、土曜の朝と日曜の夜に聴きたい曲を毎週それぞれ1曲ずつセレクトする人気連載をまとめた「&Music」シリーズの第2弾。 23人の選曲家が選んだ、週末を心地よく過ごすための音楽、全200曲。 本書のためだけにまとめた、収録作品のディスクガイド付き。

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作曲家、音楽家 坂東祐大

作曲家、音楽家。東京藝術大学、同大学院修士課程作曲科を修了。作品はオーケストラ、室内楽からシアター・パフォーマンスなど多岐に渡る。映像参加作品にドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』、映画『竜とそばかすの姫』(細田守監督)など。自身初となるアルバム『TRANCE/花火』が〈DENON〉レーベルより2022年1月リリース予定。 Profile photo :Shinryo Saeki

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