作曲家、音楽家 坂東祐大
December 30, 2021 土曜の朝と日曜の夜の音楽。 今月の選曲家/坂東祐大 vol.5
December.31 – January.06, 2022
Saturday Morning

最後の週は、日本人作曲家によるオーケストラ作品を2曲選ばせていただきました。この「Green」は武満徹の作品の中で、個人的に好きな作品の一つです。同時期に書かれた作品と少しトーンが異なるのも面白いところ。いきいきとした沢山のフレーズに加え、豊潤なオーケストレーションのアイデアに何度聴いても新しい発見があります。
アルバム『Takemitsu November Steps』収録。
アルバム『Takemitsu November Steps』収録。
Sunday Night

オーケストラのための「映照」。第42回「尾高賞」を受賞された北爪道夫さんのオーケストラ作品です。北爪さんの作品には、強い響きの説得力と、独自のポエジーを感じ、この作品もそれを存分に堪能できます。
今回の連載では本当に好きに勝手に(笑)、自分のお気に入りの作品を挙げさせていただきました。お付き合いいただき、ありがとうございました!
アルバム『International Rostrum of Composers 1955-1999』収録。
今回の連載では本当に好きに勝手に(笑)、自分のお気に入りの作品を挙げさせていただきました。お付き合いいただき、ありがとうございました!
アルバム『International Rostrum of Composers 1955-1999』収録。
『&Premium』特別編集
『&Music/土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ 』 好評発売中。

December 24, 2021 土曜の朝と日曜の夜の音楽。 今月の選曲家/坂東祐大 vol.4
December.24 – December.30, 2021
Saturday Morning

作曲家のグループ「フランス六人組」の一員として知られるダリウス・ミヨーは、外交官秘書としてブラジルに赴いていた時期がありました。(なんとその時のボスは、劇作家、詩人としても大きな業績を残したポール・クローデル)
コロナになってからというもの、海外に行ける機会が減ってしまって、なんとも寂しい日々ですが、ミヨーのように海外を転々としながら作曲するのは楽しいだろうなぁと想像を膨らませつつ。
アルバム『Milhaud: Saudades Do Brazil / La Muse Menagere / L’Album De Madame Bovary』収録。
コロナになってからというもの、海外に行ける機会が減ってしまって、なんとも寂しい日々ですが、ミヨーのように海外を転々としながら作曲するのは楽しいだろうなぁと想像を膨らませつつ。
アルバム『Milhaud: Saudades Do Brazil / La Muse Menagere / L’Album De Madame Bovary』収録。
Sunday Night

ベルギーの作曲家、クロード・ルドゥが、日本の文化にインスパイアを受けたピアノ作品集から。演奏はルドゥのパートナーである籾谷奈芳さん。
ルドゥさんとはベルギーの音楽祭に呼んでいただき、交友があるのですが、コロナ禍で海外の友人となかなか会えない期間であっても、作品や演奏を通じて異国の友達と交流ができるのはとても嬉しいことだな、と改めて感じました。
アルバム『Claude Ledoux Japanese E-mail』収録。
ルドゥさんとはベルギーの音楽祭に呼んでいただき、交友があるのですが、コロナ禍で海外の友人となかなか会えない期間であっても、作品や演奏を通じて異国の友達と交流ができるのはとても嬉しいことだな、と改めて感じました。
アルバム『Claude Ledoux Japanese E-mail』収録。
『&Premium』特別編集
『&Music/土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ 』 好評発売中。

December 17, 2021 土曜の朝と日曜の夜の音楽。 今月の選曲家/坂東祐大 vol.3
December.17 – December.23, 2021
Saturday Morning

イギリス出身の作曲家、ベネディクト・メイソン(1954- )がピッコロトランペットのために書いた作品です。あまり日本では演奏される機会が少ないのですが、この作品でも彼のユーモアと構成の巧みさが存分に味わえる小品になっています。またこのアルバムはドイツを代表する現代音楽のアンサンブル、「Ensemble Modern」が自主レーベルとして、それぞれのメンバーをフューチャーした盤を企画した意欲的なシリーズの一作で、今作では首席トランペットのサヴァ・ストヤノフによる妙技が堪能できます。
アルバム『Porträt-Reihe: Ut Supra (Ensemble Modern Presents Valentín Garvie & Ensemble Modern)』収録。
アルバム『Porträt-Reihe: Ut Supra (Ensemble Modern Presents Valentín Garvie & Ensemble Modern)』収録。
Sunday Night

デンマークの作曲家、ハンス・アブラハムセン(1952- )による大規模な室内楽作品 『Schnee』より。”Schnee”とはドイツ語で雪の意味。13曲の構成で一時間近く演奏されるのですが、どの楽章も非常に緻密に作曲されており、また非常に! 難しいアンサンブルを要求します。この 「Canon 2a」は研ぎ澄まされ、限定された素材が反復される楽章でフルート、コールアングレ、クラリネット、ピアノによる響きによって構成されていますが、管楽器による様々な奏法やプリぺアド・ピアノによる効果で編成からは少し想像できないような響きがします! 演奏はドイツを代表するアンサンブル「Ensemble Recherche」によるもの。
アルバム『Hans Abrahamsen: Schnee』収録。
アルバム『Hans Abrahamsen: Schnee』収録。
『&Premium』特別編集
『&Music/土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ 』 好評発売中。

December 10, 2021 土曜の朝と日曜の夜の音楽。 今月の選曲家/坂東祐大 vol.2
December.10 – December.16, 2021
Saturday Morning

クラシック音楽には鳥をモチーフにした作品の系譜があります。例えばフランツ・リスト作曲の「小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ」やオリヴィエ・メシアンの多数の作品群など。
そして今回紹介したいのは現代のドイツ人作曲家のカローラ・バウクホルト作曲の「Doppelbelichtung」という作品。「Doppelbelichtung」とはドイツ語で、二つの写真を合成する技法のことを指すのですが、今作ではヴァイオリンの演奏と実際の鳥の音が見事に合成し、独自の音楽世界を形作っています。
カローラ・バウクホルトについては、ドイツでも長く活動されている作曲家の稲森安太己さんがnoteで紹介されているので、興味を持った方はぜひチェックしてみてください。
https://note.com/yasutaki_inamori/n/ne1e7006e7936
そして今回紹介したいのは現代のドイツ人作曲家のカローラ・バウクホルト作曲の「Doppelbelichtung」という作品。「Doppelbelichtung」とはドイツ語で、二つの写真を合成する技法のことを指すのですが、今作ではヴァイオリンの演奏と実際の鳥の音が見事に合成し、独自の音楽世界を形作っています。
カローラ・バウクホルトについては、ドイツでも長く活動されている作曲家の稲森安太己さんがnoteで紹介されているので、興味を持った方はぜひチェックしてみてください。
https://note.com/yasutaki_inamori/n/ne1e7006e7936
アルバム『Flock』収録。
Sunday Night

シベリウス弦楽四重奏曲 「親愛なる声」。フィンランドを代表する大作曲家、シベリウスはいくつかの習作と「Andante Festivo」という作品を除いて、この作品以外は弦楽四重奏曲を残しませんでした。40代という円熟の時期に作曲されたこの作品は、作曲者本人もその出来栄えに納得がいっていたようです。
五楽章がアタッカ(休憩なしで)で演奏されるのですが、その世界観に気がつくと我を忘れて浸ってしまいます。
アルバム『Intimate Voices』収録。
五楽章がアタッカ(休憩なしで)で演奏されるのですが、その世界観に気がつくと我を忘れて浸ってしまいます。
アルバム『Intimate Voices』収録。
『&Premium』特別編集
『&Music/土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ 』 好評発売中。

December 03, 2021 土曜の朝と日曜の夜の音楽。 今月の選曲家/坂東祐大 vol.1
December.03 – December.09, 2021
Saturday Morning

恥ずかしながらカレンダー通りの生活をしていないので、「今日、何曜日?」と聞かれても答えられないことがしばしばあります。もし、自分の生活がカレンダー通りで回っていて『&Premium』に特集されるような、おしゃれで充実した暮らしをしていたら! というところで選曲してみました。
イタリアを代表する現代音楽の作曲家、サルヴァトーレ・シャリーノのピアノ作品です。有名な楽曲、2曲のマッシュアップになっていて、一つはラヴェルの「水の戯れ」、もう一つは映画でも有名なナンバー「雨に唄えば」が巧みに配置されています。シャリーノについて話始めるとおそらく文字数が全く足りなくなってしまうのですが(笑)、もし興味持った方はぜひ彼の他の作品も聞いてもらえると「アナモルフォージ」とはまた違う豊潤な世界を聴くことができると思います。
アルバム『Sciarrino:Complete Piano Works』収録。
イタリアを代表する現代音楽の作曲家、サルヴァトーレ・シャリーノのピアノ作品です。有名な楽曲、2曲のマッシュアップになっていて、一つはラヴェルの「水の戯れ」、もう一つは映画でも有名なナンバー「雨に唄えば」が巧みに配置されています。シャリーノについて話始めるとおそらく文字数が全く足りなくなってしまうのですが(笑)、もし興味持った方はぜひ彼の他の作品も聞いてもらえると「アナモルフォージ」とはまた違う豊潤な世界を聴くことができると思います。
アルバム『Sciarrino:Complete Piano Works』収録。
Sunday Night

最近話題になることも多いピアニスト、ヴィキングル・オラフソンによるドビュッシーの練習曲集 第二巻第五曲「ヒースの茂る荒地」。“Home session”とタイトルがあるように自宅のアップライトピアノで録音されたそうです。
きちんと勉強すればするほど、ドビュッシーという作曲家は底知れない発想と作曲の巧みさを持ち合わせた驚異的な作曲家だと思い知らされるのですが、この録音に関していうと、作品そのものよりも「フェルトピアノでドビュッシー! その発想は思いつきそうで思いつかなかった!」と作曲家よりもピアニストのオラフソンに妙なライバル心を抱いてしまいました(笑)。
EP『Reflections Pt. 1 / Debussy: Bruyères』収録。
『&Premium』特別編集
『&Music/土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ 』 好評発売中。

作曲家、音楽家 坂東祐大

作曲家、音楽家。東京藝術大学、同大学院修士課程作曲科を修了。作品はオーケストラ、室内楽からシアター・パフォーマンスなど多岐に渡る。映像参加作品にドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』、映画『竜とそばかすの姫』(細田守監督)など。自身初となるアルバム『TRANCE/花火』が〈DENON〉レーベルより2022年1月リリース予定。
Profile photo :Shinryo Saeki