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Music土曜の朝と日曜の夜の音楽。

January 10, 2020 土曜の朝と日曜の夜の音楽。 今月の選曲家/勝沼恭子+三宅純 vol.2

January.10 – January.16, 2020

Saturday Morning

Title.
Beirut
Artist.
Yasmine Hamdan
三宅純さんが新曲を歌ってくれる人を探している時に、ウィーンのラジオ局の人がレバノン出身のヤスミン・ハムダンさんを紹介してくれた。ジム・ジャームッシュの映画『Only Lovers Left Alive』の中で歌う彼女は妖艶で挑発的だったので、緊張しながらご挨拶をさせて頂いたのだが、拍子抜けするほどシンプルで飾らない人だった。彼女の何気ない世間話の中には、リアルな戦争体験の話が出てくる。内戦が激しくなってくると、外に向かって大音量でベートーヴェンの「第九」を流すお父さんのお話は印象的。故郷の悲惨な現実を受け入れ、戦争を知らない人達が住む国に暮らしながら夢を実現させているレバノンの歌姫。彼女の歌に自分の身体を滑り込ませてみると、普段の自分とは違う細胞がちりちりと動き出す気がする。(勝沼恭子)
アルバム『Ya Nass』収録。

Sunday Night

Title.
Mister Sun
Artist.
Brigitte Bardot
映画『ティコ・ムーン』の主題歌にもなっているこの曲。ブリジット・バルドーの熟れすぎたフルーツのような歌声は、夢で嗅いだ麻酔薬のよう。そんな声で「お日様私を照らして」なんて歌われると、闇がかえって深くなって、自分が空っぽになっていく。この気だるい時間の過ぎ方が好きです。(勝沼恭子)
アルバム『Un Jour Comme Un Autre』収録。




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ミュージシャン 勝沼恭子+三宅純

勝沼恭子
10 歳の時、在籍合唱団の選抜により、NHK みんなのうたにてレコードデビュー。15 歳で海外公演(ギリシャ)を経験する。昭和音楽大学短期大学部ピアノ科卒業と同時に CM 音楽制作会社に入社。音楽制作を学びつつ、ヴォーカリスト、ナレーターとして三宅純、菅野よう子、中川俊郎、近田春夫、鈴木慶一らの作品に参加。2019年に三宅純のプロデュースにより、ファーストアルバム『COLOMENA』をリリース。
http://www.kyokokatsunuma.com/

三宅純
日野皓正に見出され、バークリー音楽大学に学び、ジャズ・トランぺッターとして活動開始。作曲家としてピナ・バウシュ、ヴィム・ヴェンダース、フィリップ・ドゥクフレ、ロバート・ウィルソン、ジャン=ポール・グード、大友克洋らの作品に楽曲提供、異種交配を多用した個性的なサウンドが国際的賞賛を受ける。05年秋よりパリにも拠点を設け、アルバム『Stolen from strangers』『Lost Memory Theatre Act-1 』『Lost Memory Theatre Act-2』はヨーロッパの音楽誌で「音楽批評家大賞」「年間ベストアルバム賞」などを連続受賞。ヴィム・ヴェンダース監督作品『Pina』で 11 年ヨーロッパ映画賞のベスト・ドキュメンタリー賞受賞、12 年米・英のアカデミー賞にノミネート。CM、映画、アニメ、ドキュメンタリー、コンテンポラリーダンス等多くの作品に楽曲を提供。
https://www.junmiyake.com/

Photo by Bishin Jumonji