Music

今月の選曲家 akikoJuly 13, 2018

June.13 – July.19, 2018

Saturday Morning

Title.
Movement1
Artist.
Carl Craig & Moritz von Oswald
子供の頃に住んでいたマンションの下には喫茶店があった。私の父は休日の朝はいつも、この喫茶店でモーニングを楽しんでいた。 時々は子供の私も連れて行ってくれて、トーストとゆで卵と香り高い珈琲、そしてクラシック音楽を一緒に味わった。クラシックが休日の朝をこれほど贅沢で優雅な時間にしてくれることに気づいた頃、この奇妙なアルバムに出会った。個人的に世界で最も尊敬するクリエイターの一人、モーリッツ・フォン・オズワルドがカール・クレイグと共にラベルの「ボレロ」をその名の通り“Recompose”したアルバムは、是非いい音響で聴いてみて欲しい。暑さのせいも相まって最終的にはかなりディープな世界に持っていかれるので要注意。
アルバム『Recomposed By Carl Craig&Moritz Von Oswald』 収録。

Sunday Night

Title.
Inspector Norse
Artist.
Todd Terje
2009年、トッド・テリエをノルウェーで観た。その時私は< ジャズランドレコード>のブッゲ・ヴェッセルトフトと一緒にアルバムのレコーディングをしていたのだが、ブッゲとの音楽がとても静粛で内的なものだったので余計、その溢れんばかりのキラキラ感に圧倒され、感動して思わず泣いてしまった。ニュー・ディスコとかディスコ・ダブとか表現される彼のサウンドは、リアルにディスコ・クラシックを通ってきた私にとってはもはやクラブでなくて部屋でまったり聴きたいくらいだが、「明日は月曜だし仕事か……と思ったら、明日は祝日じゃん!」とテンションを上げたい日曜の夜のために。 アルバム『It’s Album Time』 収録。
&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

音楽好きの“選曲家”たちが月替わりで登場し、土曜の朝と日曜の夜に聴きたい曲を毎週それぞれ1曲ずつセレクトする人気連載をまとめた「&Music」シリーズの第2弾。 23人の選曲家が選んだ、週末を心地よく過ごすための音楽、全200曲。 本書のためだけにまとめた、収録作品のディスクガイド付き。

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ジャズ・シンガー akiko

2001年、名門ジャズレーベル「ヴァーヴ」初の日本人女性シンガーとしてユニバーサルミュージックよりデビュー。既存のジャズの枠に捕われない幅広い音楽活動で人気を博し、現在までに23枚のアルバムを発表。パリ、ロンドン、ニューヨーク、リオデジャネイロ、オスロ、ニューオリンズなど海外でのレコーディングも多く、またヨーロッパでのツアーやジャズフェスティバルなど、国内外で活躍。一方、アパレル・ブランドとのコラボレーションで帽子やワンピースなどのアイテムを展開するなどファション方面でも活躍。また、定期的に声を使ったボイス・ワークショップや、子供のためのジャズワークショップを開催している。更に英国アーユルヴェーダカレッジ日本付属校認定アーユルヴェーダライフスタイリスト、日本ナチュラルヒーリングセンター認定アーユルヴェーダ・ホームケアドクター及びライフコンサルタントの資格を取得し、2013年からはアーユルヴェーダのワークショップやリトリートツアーなども開催している。デビュー15周年となる2016年には5枚組50曲入りのベストアルバム『Elemental Harmony』をリリース。2018年にはジャズ・スタンダードをテーマにしたエッセイ『ジャズを詠む』を出版。

akiko-jazz.com

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