台湾スイーツ食べ比べ

独特な食感と甘さが自慢の台湾バナナを楽しむ。【&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ 】December 12, 2022

「バナナスイーツ」
 かつては「バナナ王国」と呼ばれていた台湾。日本本土では栽培ができず、戦前は高級フルーツとして扱われていた。そのため、「病気のときにだけ食べられる高嶺の花」という記憶をもつ年配者も少なくない。1970年代半ば以降、台湾からの輸入量は激減したが、今でも国内外で根強い人気を誇る。生産地は台中や南投、屏東など台湾の中南部。ちなみに熱帯作物であるバナナの生産地としては、台湾は北限に位置している。熱帯地方に比べると、ゆっくりと時間をかけて育てていくため、香りが豊かで味にも深みが出てくる。また、ねっとりとした食感も特色だ。今回はバナナドリンク専門店の『Why Banana? 香蕉牛奶專賣店』と、バナナの形を模したケーキで話題の『果園先生 屏南商行』を紹介したい。
栄養満点のオリジナルドリンクが看板の店。

栄養満点のオリジナルドリンクが看板の店。

 台北には無数のドリンクスタンドがあるが、バナナドリンクに特化した店は珍しい。ここでは砂糖を加えず、市場で仕入れたバナナをはじめ、各種フルーツや野菜をふんだんに用い、栄養や味、食感のバランスを考えながら、オリジナルドリンクを次々と開発している。看板メニューのバナナミルクには黒ゴマ入りやオレオクッキー入りがある。ミルクは数種類を試した結果、バナナとの相性がいい高雄の小規模農家のものを使用。そのほか、ヨーグルトドリンクではお通じが良くなるというドラゴンフルーツを加えたものが人気だ。さらにミックスジュースには2~3種類の野菜とレモン、カシューナッツなどを加えており、野菜が苦手という方にも好評。いろいろな味にトライしてみたい。

Why Banana? 香蕉牛奶專賣店
ホワイ・バナナ・シャンチアオニョウナイツワンマイディエン

台北市中山區松江路330巷37‒1號 ☎0905‒917‒053 11:00~20:00 無休 バナナミルクは50元、ミックスジュースは80元~。

Why Banana? 香蕉牛奶專賣店(ホワイ・バナナ・シャンチアオニョウナイツワンマイディエン)
バナナ農園の4代目が開いたバナナスイーツ店。

バナナ農園の4代目が開いたバナナスイーツ店。

 店主の葉杰恩(イエ・チエエン)さんは屏東県の出身。1924年に曾祖父がバナナ栽培を始め、父親が農園を継いだが、現在は栽培はせず、近隣の農園で収穫されたバナナの熟成作業を請け負っている。この熟成作業がバナナのおいしさの決め手となっており、高い技術を要する。葉さん自身はもともとコーヒーロースターだったが、故郷のフルーツの価値を高めたいと創業。バナナ形のケーキは外側をチョコでコーティングし、黄色は鉄観音茶味のガナッシュにバナナ餡、緑色はレモン味のガナッシュにパイナップル餡を使用。緑のほうはあえて完熟していないバナナも加え、酸味を出すというこだわりようだ。また、砂糖や水を加えないバナナドリンクも、バナナの旨味が凝縮されているので、必ずオーダーしたい。

果園先生 屏南商行
グオユエンシエンセン・ピントンサンハン

台北市大安區安和路112巷16號(信義安和店)☎02‒2700‒0321 11:00~20:00 日休 バナナケーキは各150元。新北市中和にも店舗あり。

果園先生 屏南商行 グオユエンシエンセン・ピントンサンハン

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 109 2023年1月号「&Taipei」に掲載されたものです。


台北在住ライター・コーディネーター 片倉真理

1999年から台北に暮らす。台湾に関する書籍の執筆、製作のほか、雑誌のコーディネートなども手がける。台湾各地を隈なく歩き、料理やスイーツから文化、風俗、歴史まで幅広く取材。著書に『台湾探見』、共著に『台湾旅人地図帳』(共にウェッジ)、『食べる指差し会話帳』(情報センター出版局)など。

instagram.com/marikatakura

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