長田佳子の季節のハーブを愉しむお菓子。
vol.12 ルッコラとパセリのクラッカーHerbal Sweets / March 20, 2021
自然からのいただきものであるハーブの力を取り入れて、心と体に優しく寄り添う「レメディ」のようなお菓子を作る〈foodremedies〉として活動する菓子研究家の長田佳子さん。砂糖にはない甘さやほのかに感じる苦味、鼻をくすぐるいい香り——。ハーブはそのときの心と体の状態によって、五感で感じ取るものが繊細に変化する奥深さを秘めた暮らしに役立つ植物です。そんな季節のハーブを使った長田さんオリジナルのお菓子のレシピを紹介するこの連載。第12回は「ルッコラとパセリのクラッカー」をお届けします。
This Month's Herbal Sweets
「ルッコラとパセリのクラッカー」
フレッシュハーブと全粒粉が香る、軽やかなクラッカー。
うららかな春の光や生暖かい穏やかな風に心地よさを感じる3月。晴れた日には窓を開け放ち、新鮮な空気を吸い込んで深く呼吸をしてみたり、近くの公園に足を延ばし、植物の命の美しさに思いを馳せたりする時間にキラリと輝くものを見つけられることがあります。例えば、人は自然に生かされながら生きていること。植物と同じように光や風、水を求めて生きている存在ということ。そんなことに改めて気づかされ、前向きな気分になれたら、新しいお菓子作りに挑戦してみてはいかがでしょう? きっと、日常の中で小さな冒険に出たような、ワクワクに出合えるはず。
大地に根を張り、太陽の光を浴び、雨の恵みを受けて生き生きと育ったパセリやルッコラなどのフレッシュハーブ。ゆらゆらと揺れる小麦畑を想像させてくれる小麦の味が立った全粒粉……。薄力粉だけではなく、全粒粉を使うことで、土に還るような素朴さとコクが備わった深みのある味に導くことができます。素材そのものの味が際立った軽やかな口当たりのクラッカーは、パルメザンチーズをまぶした程よい塩味と、ハーブ独特の苦味の取り合わせの相性の良さがクセになります。ふだん、お菓子をいただかない人の、“おつまみ”としても喜んでもらえそうな味わいは、ワインやビールのお供にもぴったり。ラッピングして、プチギフトにしてみるのもおすすめです。
レシピ 17枚程度(三角形の抜き型5.5cm) ※ナイフでカットしてもOK
・薄力粉90g
・全粒粉20g
・きび砂糖5g
・塩2g
・米油35g
・水5ml
・イタリアンパセリ適量
・ルッコラ適量
・パルメザンチーズ適量
[下準備]
イタリアンパセリを刻んでおく。
How to cook
photo: Hiroko Matsubara edit & text : Seika Yajima
ハーブ:まるふく農園 キッチンクロス提供:FLUFFY AND TENDERLY
器:池谷三奈美ほか
<プロフィール>
菓子監修 長田佳子〈foodremedies〉
菓子研究家。レストラン、パティスリーなどでの修業を経て、YAECAフード部門「PLAIN BAKERY」でメニュー開発、お菓子の製造を担う。2015年に独立。〈foodremedies〉という屋号でハーブやスパイスなどを使ったまるでアロマが広がるような、体に素直に響くお菓子を研究している。著書に『foodremediesのお菓子』(地球丸)、『全粒粉が香る軽やかなお菓子』(文化出版局)などがある。