長田佳子の季節のハーブを愉しむお菓子。

vol.11 ターメリックチョコラテHerbal Sweets / February 20, 2021

自然からのいただきものであるハーブの力を取り入れて、心と体に優しく寄り添う「レメディ」のようなお菓子を作る〈foodremedies〉として活動する菓子研究家の長田佳子さん。砂糖にはない甘さやほのかに感じる苦味、鼻をくすぐるいい香り——。ハーブはそのときの心と体の状態によって、五感で感じ取るものが繊細に変化する奥深さを秘めた暮らしに役立つ植物です。そんな季節のハーブを使った長田さんオリジナルのお菓子のレシピを紹介するこの連載。第11回は「ターメリックチョコラテ」をお届けします。

This Month's Herbal Sweets

「ターメリックチョコラテ」

_DSC5326

エナジードリンクになる、甘くスパイシーなチョコラテ。

太陽の光や、植物が芽吹く様子に春の気配を感じながらも、まだまだ肌寒い季節は、ホットドリンクとともに穏やかな時間を過ごしてみたい。冷えが気になったり、緊張で体がこわばったりしたときにおすすめなのが、ビターチョコレートとハーブを使って作ったチョコラテ。作り方は至ってシンプルで、刻んだチョコレートを牛乳に溶かし、すりおろしたターメリックとレモンタイムを加え、弱火にかけて混ぜるだけ。小ぶりなカフェオレボウルに注ぎ、仕上げにレモンをギュッと搾り、爽やかな酸味をひとさじ。そんなひとひねりを加えることで、ほどよい甘味にチューニングできます。両手でボウルを持って口に運ぶたびに、チョコレートの甘い香り、独特のほろ苦さを感じるターメリックのスパイスの余韻、レモンタイムとレモン果汁の爽やかな香りが渾然一体となり、リラックスを誘ってくれます。チョコレートには、カカオ・ポリフェノールが豊富に含まれているので健康や美容にも効果的。少し飲むだけでも頭がスッキリして、パワーチャージできるはず。いつも頑張っている大切な人へのおもてなしに。そして、自分をいたわる、ホットドリンクメニューの定番にしてみたらいかがでしょう。

L1001230
左/レモンタイム 

地中海沿岸が原産のシソ科のハーブ。レモンに似た柑橘の香りと風味が楽しめるのが最大の特徴。寒さに強い多年草なので初心者でも育てやすく、肉料理や魚料理の香りづけに活用しやすいキッチンハーブです。落ち込んだ気持ちを立て直したり、生理不調やPMS(月経前症候群)を和らげる作用も期待できます。ハーブティーやポプリに使用することで爽やかな気分へと誘います。

右/ターメリック

熱帯アジアが原産のショウガ科の多年草。根茎の部分を使用するので、土くささを感じる独特の香りとほろ苦さを感じるスパイシーな風味があります。ターメリックに含まれるクルクミンという成分が肝臓の働きを強化する作用を持つので、酒を飲む人は日常的に摂取することをおすすめしたいハーブです。漢方では肩こり、生理痛、疝痛(せんつう)などの治療に用いられています。

 

レシピ 

・チョコレート(カカオ70%以上)30g

・牛乳110ml

・ターメリック1かけ ※すりおろす 

・レモンタイム2枝

・レモンのくし形切り1個

How to cook

1.チョコレートを細かく刻む。
1.チョコレートを細かく刻む。
2.1と牛乳を鍋に入れる。ターメリックをすりおろし、枝を除いたレモンタイムも加え、弱火にかける。
2.1と牛乳を鍋に入れる。ターメリックをすりおろし、枝を除いたレモンタイムも加え、弱火にかける。
3.ホイッパーでかき混ぜながらチョコレートを溶かし、馴染んだら器に入れて、レモンを搾って完成。
3.ホイッパーでかき混ぜながらチョコレートを溶かし、馴染んだら器に入れて、レモンを搾って完成。
L1001240

photo: Hiroko Matsubara edit & text : Seika Yajima
ハーブ:まるふく農園 キッチンクロス提供:FLUFFY AND TENDERLY
器:坂口恭平

菓子研究家 長田佳子

<プロフィール>

菓子監修 長田佳子〈foodremedies〉
菓子研究家。レストラン、パティスリーなどでの修業を経て、YAECAフード部門「PLAIN BAKERY」でメニュー開発、お菓子の製造を担う。2015年に独立。〈foodremedies〉という屋号でハーブやスパイスなどを使ったまるでアロマが広がるような、体に素直に響くお菓子を研究している。著書に『foodremediesのお菓子』(地球丸)、『全粒粉が香る軽やかなお菓子』(文化出版局)などがある。

Pick Up 注目の記事

Latest Issue 最新号

Latest Issuepremium No. 133カフェと音楽。2024.11.20 — 960円