花屋『みたて』の「折々に見立てる、京の暮らし」
可憐な「祇園祭の花束」。Vol.14 / October 07, 2021

四季折々に迎える歳時記を、京都の花屋『みたて』が植物を通して表現。一つの作品を通して、京都ならではの生活が見えてきます。

可憐な「祇園祭の花束」。
コンチキチンの祇園囃子がどこからともなく聞こえ、祇園祭とともにある7月の京都。その始まりは貞観11(869)年に流行した疫病の退散を祈願して、66の鉾を作り御霊会を行ったことに遡る。1100年の歴史を超えて、今も受け継がれる祇園祭。広く知られているのは2014年からは後祭も復活した山鉾巡行と宵山。八坂神社の三基の御神輿が街を練り歩き御旅所へ向かう神幸祭と、八坂神社へと戻る還幸祭。後祭が合同された約50年前に始められ、花街の芸舞妓の踊りや鷺舞などで華やかさもひと際の花傘巡行。その他にも八坂神社の祭礼として1日から31日までの1か月にわたり様々な行事が行われている。
〈みたて〉は花傘巡行の主役・舞妓がつける花かんざしからイメージを膨らませ、祇園祭のあしらいとした。梅や桜、顔見世のまねきなど季節を映した可憐なかんざしの7月は団扇や扇子がモチーフ。小さな花が連なる様子をつまみ細工に見立てたイチヤクソウと、ジュウヤクとも呼ばれるドクダミをそれぞれ小さな花束に仕立てた。イチヤク・ジュウヤクという名を持ち、どちらも薬効がある草花を選んだのは、祇園祭のルーツが疫病退散にあるためだ。そこに先人たちの思いを偲ばせている。扇面の和紙にのせたのは、7月のかんざしが団扇や扇子に花を組み合わせていることから。京都の木漆芸家・新宮州三の漆黒の盆にのせることで、可憐さはますます際立つものに。
photo : Kunihiro Fukumori edit & text : Mako Yamato
*『アンドプレミアム』2016年8月号より。
花屋 みたて
和花と花器を扱い、四季の切り取り方を提案する京都・紫竹の花屋。西山隼人・美華夫妻がすべてを分担し営む。















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