& Le Creuset 幸せな食卓をつくるキッチンウェア。
〈ル・クルーゼ〉のつくりのいいものが生まれる場所。フランス北部の村、フレノワ・ル・グランを訪ねて。The Story of Le Creuset.November 20, 2023 /〔PR〕
1925年の創業以来、高品質で美しいキッチンウェアを作り続け、世界中に多くのファンを持つ〈ル・クルーゼ〉。フランス北部の小さな村で続ける良質なものづくり、そこからはブランドが大切にしてきた哲学が見えてくる。
北フランスの小さな村で100年続く、良質なものづくり。
1925年に誕生した〈ル・クルーゼ〉の鍋はオレンジや赤、ブルーといった美しい彩色、使い勝手の良さ、おいしい料理が仕上がる機能性で、世界中で親しまれる鋳物ホーロー鍋だ。
実はその鍋、フランス北部の小さな村、フレノワ・ル・グランですべて生産されているという。およそ1 世紀に続き受け継がれてきた技術、伝統と歴史、そして鋳物ホーロー鍋の魅力をより深く知るために、〈ル・クルーゼ〉の本社と工場があるフレノワ・ル・グランへ向かった。
フレノワ・ル・グランはパリから北へ約180㎞。車でおよそ2 時間半の距離にあり、ベルギーの国境まではわずか30分ほど。かつては繊維産業で栄えた町であり、繊維工場を改装したテキスタイル美術館は村の名所の一つ。また、北フランスは鉄と石炭が手に入りやすく、鋳物の生産が盛んな地。この村でも200年以上前から鋳物が作られていたという。
〈ル・クルーゼ〉の歴史のはじまりは、鋳物のスペシャリストであるアルマン・ドゥザゲールと、熟練のホーロー細工職人オクタヴ・オーベックの出会い。二人が会社を立ち上げた翌年に工場が完成し、鋳物ホーロー鍋の生産がスタートした。彼らが発明したのは、鋳物ホーロー鍋にカラーリングを施す技術。鍋といえばモノトーンであったそれまでの常識を覆し、キッチンウェアの歴史に革命をもたらしたのだ。
人口約3000人の村では多くの人々が〈ル・クルーゼ〉で働き、なかには3 代にわたり、勤務してきた家族もいる。村の小学校近くにはカラフルな鍋の蓋をあしらった柵があり、村の入り口には「Village de maille et émail(ヴィラージュ・ド・マイユ・エ・エマイユ=ニット生地とエナメルの村)」と言葉遊びの看板も。村の人々の生活に根ざし、愛される〈ル・クルーゼ〉とは。村の中心から少し離れた場所に立つ、本社と工場をいざ、訪れてみよう。
2018年に改修して新しくなった本社と工場を案内してくれたのは、テクニカルサポート部門の責任者を務めるパトリック・ジェイコブさん。まず、本社の見どころは、創業当時から現在までの商品を時系列で展示し、ブランドの足跡を辿ることができるミュージアム。そこでブランドが大切にする4 つのことについて教えてくれた。「〈ル・クルーゼ〉がキッチンウェアに革新をもたらした1 つ目は鍋の彩色。2 つ目は国際的に通用するデザインを取り入れたこと。現会長のポール・ヴァン・ズィーダムが企業改革を行った際、工業デザインの父と呼ばれるレイモンド・ローウィとのコラボレーションを進め、1958年に斬新なデザインの『コケル』を発表。実は最初はデザイン提供を断られたものの、シカゴの展示会でレイモンドに出会った際、彼が料理好きでブランドの愛好家であることがわかり、話がまとまったそうです」
同じ1958年に「グリル」を発表。「波打ち構造が余分な油を落とし、肉や魚をおいしく焼き上げる上、ヘルシー。当社が重視する3 つ目のポイントが、こうした健康に良い商品の開発です。1980年代からは、アウトドアやウィンタースポーツの流行に合わせて、バーベキューセットやフォンデュセットを提案。家族や友人と食事をし、楽しい時間を共有することを仏語でConvivialité(コンヴィヴィアリテ)と言います。当社が4 つ目に大切にしているのが、大勢で楽しい時間を過ごすための、商品開発です」
「伝統と革新、働く人を大切にすること」がブランドの哲学。
パトリックさんが次に案内してくれたのは、本社に隣り合う工場。「2011年にリノベーション。伝統製法を大切にしつつ、先端技術も導入しています。まず1500℃以上の溶鉱炉で原料となる鉄を溶かし、不純物を除去。次は金属鋳型をもとに作る砂型に溶鉄を流し込み、鍋のベースを作ります。冷却後、職人が傷や割れ目がないかをチェック。問題があるものは溶かして再利用します」。不要な部分を取り除く研磨作業は2020年にオートメーション化。「3D写真から削る位置を識別し、レーザーで研磨。当社が開発した技術です。以前は手作業で行いましたが、危険性が高かったため技術開発に力を入れ、製品のクオリティも上昇しました」
次は下地ホーローをスプレーガンで吹き付け、乾燥後に炉に入れる。カラーホーローを吹き付け、同じ作業を行うことで表面にガラス質の強い被膜を作り、丈夫で扱いやすい鍋が仕上がる。「ホーローの吹き付け、焼き付けもオートメーション化されていますが、各セクションで職人の目でのチェックは欠かせません」。最終検品で不具合がないかを徹底して確認後、化粧箱に梱包し世界60か国以上に出荷する。
印象的だったのは働く人々の明るさと笑顔。
「人を大切にするのが当社の信念。工場は3 交代制で平日5 日間、24時間稼働し、朝、昼、夜の勤務シフトは定期的に変わります。重労働に勤しむスタッフが快く働ける環境づくりは最重要課題で、ロッカールームやシャワールームの衛生管理を徹底しています。定年まで勤め上げる人が多いのも社風の一つです」
また、美しいホーローの色に用いるのは、自然の鉱物を原料とした天然顔料のみ。3 人が働くカラーラボでは色、商品化した際の安定性、安全性、耐性のテストも行う。「ホーローの開発は長い期間を要します。約15種類の顔料をミックスし、水を混ぜて液体に。それを毎日チェック。色と輝き、経年劣化について、酸、蒸気、熱湯、物理的ショックを与えたときの耐性など、配合を変えながらテストをします。大変なものは配合を変えた液体を300種類作ります。1 つの色の開発には2~4年かかります」とスタッフの一人が教えてくれた。
丁寧に作られた〈ル・クルーゼ〉のプロダクトは、フランスの人々の暮らしに欠かせない。一般家庭はもちろん、プロにも支持されている。フレノワ・ル・グランから車で10分ほどの街、ボエンの人気レストラン『レ・ジャルダン・ド・ボエン』のシェフ、ジェレミー・ラムリーさんも愛用者の一人。「煮込みなど、長時間火入れする料理に使っています。オーブンに鍋ごと入れられるのも便利。色やデザインがフランスらしく、綺麗なのもいい。『ミニ・ココット』は付け合わせ用の皿として活躍しています」 約100年の歴史を通じ、メゾンの4 つのエスプリ(色、デザイン、健康、コンヴィヴィアリテ)を守ることで、フランスの食文化を表現し、今では世界中で愛されるブランドに成長した〈ル・クルーゼ〉。伝統を守る一方、著名デザイナーが手がけるシリーズの発表、最先端の技術の導入など革新的な姿勢を持ち続ける。フレノワ・ル・グランでしっかりとものづくりを続けたことで培い、熟成した社風、働く人を大切にする方針、1 世紀の間受け継がれてきた哲学。そのすべてがブランドのぶれない魅力であり、長く愛せるものづくりの力となっているのだ。
〈ル・クルーゼ〉がこれまで大切にしてきた歩みや、これから目指すものを会長に聞いたインビュー記事が公開されました。あわせてご覧ください。
photo : Shinnosuke Yoshimori text : Miyuki Kido