MUSIC 心地よい音楽を。
シンガー・ソングライター 中山うりさんが選ぶ土曜の朝と日曜の夜の音楽。vol.1November 01, 2024
November.01 – November.07, 2024
Saturday Morning

まだ半袖の日もあるのにクリーニング屋から分厚い上着が戻ってきてますます季節がわからないけど、この時期になると吹奏楽のコンクールを思い出す。金管バンドでトランペットを吹き始めた小5の頃、父に聴かされたのがサッチモだった。学校で習うのとはだいぶ違う…と、はじめて聴いたときのとてつもない違和感はいつしかそのリズムに胸が踊って眠れなくなるほど夢中になっていた。いろんなテイクがある中でこれはイントロから全開で特にラストのトロンボーンソロからサッチモのトランペットソロは火を吹くように熱い。銀杏を踏んでもサッチモの笑顔が浮かぶこの曲を聴けば秋もちょっと好きになる。父よ教えてくれてありがとう。
アルバム『The Decca Singles 1949-1958』収録。
アルバム『The Decca Singles 1949-1958』収録。
Sunday Night

哀しみを含んだ裸の歌声に惹き込まれるフランク・オーシャン。賑やかなところから急にひとり違う惑星に吹っ飛ばされた気分になる曲。楽しかった過去がスローになってそれを映像でぼーっと眺めてる感じもする。終始、主にオルガンと声の編成で、ビートが入ってないのに強くビートを感じさせるヴォーカル。最後の方は犬の遠吠えのような声が切なくどこまでも空虚で満たされない気持ちがヒリヒリ伝わる。翻訳された歌詞を眺めてたらやっぱり寂しかった。胸の奥底に吹く秋の風みたいに「この世にたったひとり」を感じるにはぴったりな一曲。
アルバム『Blonde』収録。
アルバム『Blonde』収録。
シンガー・ソングライター 中山 うり

埼玉県生まれのシンガー・ソングライター。吹奏楽部出身
。アコーディオンやトランペット、ギターなども演奏。映画やドラマ、CM音楽などでも活躍中。2023年アルバム『tempura』をリリース。