MUSIC 心地よい音楽を。

俳優、歌手 三浦透子さんが選ぶ土曜の朝と日曜の夜の音楽。vol.3February 21, 2025

February.21 – February.27, 2025

Saturday Morning

Title.
Blink
Artist.
吉村弘
日々の生活は思考に支配されている。起きていても寝ていても何かを考え続けているような気さえしてしまう。心を休めるというのは本当に難しい。シンプルでミニマルな音の連なりからなるこの曲は、満たすというよりは解くという言葉の方がしっくりくる。リラックスの為に人はいろんなものを自分に与えますが、栄養を与える前にまず、余分を取り除く。そんなことから始める朝も良いのではないでしょうか。個人的にはその日一日の活動効率がぐんと上がります。かつて品川にあった原美術館の為に制作されたというこのアルバム。原美術館、よく通ったな。そういえばあの場所も、何かを吸収しながらも、どこかフラットに、クリーンになれる場所であった。
『Music for Nine Post Cards』収録。

Sunday Night

Title.
Koyasan
Artist.
Thomas Strønen
ノルウェーのドラマー、トーマス・ストレーネンのアルバム『Relations』から。即興的に積み上げられた音空間が、よい意味で身体のリズムを乱してくれるのが気持ちよく、こちらも、思考で満たされた脳を惹きつけてくれるような作品です。私がセレクトしたKoyasan(高野山)の他にもIshi(石)というこれまた日本的なものや、平等の公理、非二元性といった、個人的にそそられるタイトルが並びます。トータルでの収録時間が35分というのもよい。ほとんどがDuo作品で、繋がりの連鎖(まさにRelations)を味わえる。日曜の夜をイメージして一曲選びましたが、是非アルバム通して聴いていただきたい作品でもあります。さまざまに旅をし、今在るここを感じる。そんな週の終わりの夜を。
アルバム『Relations』収録。
&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

音楽好きの“選曲家”たちが月替わりで登場し、土曜の朝と日曜の夜に聴きたい曲を毎週それぞれ1曲ずつセレクトする人気連載をまとめた「&Music」シリーズの第2弾。 23人の選曲家が選んだ、週末を心地よく過ごすための音楽、全200曲。 本書のためだけにまとめた、収録作品のディスクガイド付き。

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俳優、歌手 三浦透子

1996年、北海道生まれ。2002年、「なっちゃん」のCMでデビュー。第94回アカデミー賞の国際長編映画賞に輝いた『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介監督)では、三浦個人としても第45回日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめ数々の賞を獲得するなど、国内外で注目を集める。主演映画『そばかす』(玉田真也監督)、ドラマ『エルピス‐希望、あるいは災い‐』をはじめ、数々の作品に出演。5、6月には舞台『星の降る時』への出演も決定。また、歌手としても活躍しており、昨年11月にはビルボードライブ東京で初のワンマンライブ「三浦透子 at Billboard Live TOKYO 2024」を成功させ、追加公演「三浦透子 at Billboard Live Tour 2025」として、3/6にビルボードライブ大阪、3/10にビルボードライブ横浜での公演を控えている。

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