MUSIC 心地よい音楽を。
土曜の朝と日曜の夜の音楽。 今月の選曲家/高木正勝 vol.4February 22, 2019
February.22 – February.28, 2019
Saturday Morning

デモテープやスケッチのように、まさに原石のような、生まれたての、今まさに湧いて出てきた瞬間を捉えた音楽が大好きなのです。音を鳴らしていることへの歓びや驚きがそこにはあって、こっちへ行ったりあっちへ行ったり、まだ何にも縛られていない音なので、聴くたびに新しい発見があります。窓を開ければ、自然の生き物たちや風や水たちは、今日、奏でることを奏でているように思います。僕もそうありたいです。
アルバム『Marginalia』収録。
アルバム『Marginalia』収録。
Sunday Night

それではお別れの曲です。美しい空気の震えがきちんと残されていたなんて。嬉しいですね。こんな素敵な音楽が口ずさまれる暮らしとはどんなだったのでしょう。もうすぐ春がやってきます。野山をゆけば、ほろ苦い山菜をいただいて、畑には何の種を撒こうかな。あたらしい季節、みなさまへ、たくさん育ちますように。
アルバム『The Secret Museum of Mankind Vol. 4: Ethnic Music Cla
ssics 1925 – 48』収録。
アルバム『The Secret Museum of Mankind Vol. 4: Ethnic Music Cla
ssics 1925 – 48』収録。
音楽家/映像作家 高木 正勝

1979年生まれ、京都府出身。長く親しんでいるピアノを用いた音楽、世界を旅しながら撮影した「動く絵画」のような映像、両方を手掛ける作家。2001年にアルバム『pia』をアメリカのCarpark Records、「eating」をドイツのKaraoke Kalkより発表。以降、国内外でのコンサートや展覧会、細田守監督作『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』『未来のミライ』をはじめとした映画音楽、CM音楽、執筆など幅広く活動している。最新作は、自然を招き入れたピアノ曲集『マージナリア』、6年間のエッセイをまとめた書籍『こといづ』(木楽舎)。