MUSIC 心地よい音楽を。今月の選曲家 曽我部 恵一November 27, 2015 Nov. 27 – Dec. 3, 2015 Saturday Morning Title. Once In A While In Nishiogi Artist. 古澤良治郎 「たまには西荻に遊びにきませんか」という日本語タイトルがついている。知り合いはたくさん住んでいるものの、ぼくにそう言ってくれる人はいなかったので、西荻についてあまりよく知らないままだ。ぼくの好きな人たちが住んでいるから、いい街なのだろうし、ぼくも好きになるはずだ。晴れた土曜日にだったらフラリと、ねえ? 今は亡き名ドラマーによるこの曲は彼の“うたっている”ドラミングが最高に軽やかな大名曲。街歩き、リゾート、どちらにも対応できるトロピカルなシティポップ。吉田美奈子のコーラスに誘われるままに歩き始めたら、どこまでも歩いて行けそうな気分になってしまう。「下北から西荻まで歩いて行ってもいいですか?」アルバム『たまには。』収録 Sunday Night Title. タンゴ Artist. 暗黒大陸じゃがたら 作られた曲という感じがしないのだ。ずっと前からそこにあったけど、だれも気にせずそのまま放っておかれてるような歌。いま、この曲を選んだことをすこし後悔している。コメントすべきことは特にないし、聴いたそのまんまがこの曲のすべてだ。そういえば昔こんなことがあった。深夜、ひとりで下北沢の街を歩いていると、古い小さなビルの二階にある、とある酒場の窓からアケミの「ワンツースリーフォウ」というこの曲のカウントが突然聴こえて来た。ぼくはふらりとその店に飛び込み、適当な酒を注文し座って「タンゴ」を聴いた。歌が終わるとすぐ席を立ったので、店の人はちょっと面食らっていた。ひとの夜を変えてしまう力をこの音楽は持っている。アルバム『南蛮渡来』収録 &Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ 音楽好きの“選曲家”たちが月替わりで登場し、土曜の朝と日曜の夜に聴きたい曲を毎週それぞれ1曲ずつセレクトする人気連載をまとめた「&Music」シリーズの第2弾。 23人の選曲家が選んだ、週末を心地よく過ごすための音楽、全200曲。 本書のためだけにまとめた、収録作品のディスクガイド付き。 もっと読む ミュージシャン 曽我部 恵一1971年8月26日生まれ。香川県出身。1994年、サニーデイ・サービスのボーカリスト/ギタリストとしてデビュー。2001年よりソロでの活動をスタート。インディペンデントレーベル<ROSE RECORDS>主宰。現在サニーデイ・サービスのホールツアー中。 → sokabekeiichi.com Share