BOOK 本と言葉。
30代のときに、私の生き方を変えた本。『わたしの台所』/東京都・府中市『マルジナリア書店』 が届けるベターライフブックス。February 19, 2026
This Week Theme30代のときに、私の生き方を変えた本。
Book of the Week『わたしの台所』沢村貞子 著(朝日文庫、現在は講談社文庫から出版)

出版の仕事は、本好きの私には向いていた。原稿を読むとき、わくわくした。図版を美しく用意できると、感動があった。
働くことはとても楽しかったけれど、趣味が仕事になったようなものだから、ぽっかりと何かがあいたような気持ちがあった。一般的な娯楽はどれもそれなりに楽しかったけれど、それなりを超えない。
結局、書店をふらふらしている日々が続き、その中でたまたま手にした本だった。軽い読み物だろう、と、ひまつぶし程度のつもりで読み始めた言葉たちに引き込まれた。
戦後に女優、とりわけ(少し意地悪な)義母役などの名バイプレーヤーとして活躍した沢村貞子さんが大事にしている食や暮らしについてつづったエッセイだ。生活するということ。貞子さん自身はとてもきちんとしているくせに、白く漂白されすぎた足袋は味気ないという。きちんと地に足をつけて生活することの重みと楽しむ軽やかさを私は学んだ。
※写真は1999年9刷の朝日文庫版。
BOOKSHOP マルジナリア書店byよはく舎

店主の小林えみさんが、京王線とJR南武線が交差する分倍河原(ぶばいがわら)駅の目の前に、2021年にオープン。10年以上本屋のなかった町に、人と本が出合う、交差点のような場所を作った。「やさしくて、うつくしいもの。ときどき、するどいもの」そうした本の選書を心がけ、独自の視点を届けている。店内では〈夕凪文具店〉の雑貨も販売。
住所:東京都府中市片町2-21-9 ハートワンプラザ3階
営業時間:13:00〜19:00
定休日:第二・第四火曜と毎週水曜




























