MUSIC 心地よい音楽を。
音楽家・蓮沼執太さんが選ぶ土曜の朝と日曜の夜の音楽。vol.4August 25, 2023
August.25 – August.31, 2023
Saturday Morning

ニューヨークの作曲家 モートン・フェルドマンが弟子ともよべるバニータ・マーカスのために1985年に書いた1時間ほどに及ぶ長大なピアノ曲からの抜粋。フェルドマンの死の2年前に残されました。演奏は高橋アキさん。緻密に織り上げられながら、微細に変化し続けていく構成。土曜日の朝に時間感覚を忘れていくでしょう。
アルバム『Feldman:For Bunita Marcus』収録。
アルバム『Feldman:For Bunita Marcus』収録。
Sunday Night

1917年頃に書かれたドビュッシーの遺作です。「燃える炭火に照らされた夕べ」と言い、ボードレールの詩「バルコニー」の一節に由来すると言われています。第一次世界大戦中であり物資が不足しているパリにて、暖房に必要な石炭を届けてくれる商人のために書いたそうで、この時ドビュッシーは自身の癌との闘病中でした。静かに響いていく音楽を日曜日の夜に聴くのはいかがでしょうか。
アルバム『Debussy: Estampes; Pour le piano; 6 épigraphes antiques』収録。
アルバム『Debussy: Estampes; Pour le piano; 6 épigraphes antiques』収録。
音楽家 蓮沼 執太

1983年、東京都生まれ。蓮沼執太フィルを組織して、国内外での音楽公演をはじめ、多数の音楽制作を行う。また「作曲」という手法を応用し物質的な表現を用いて、彫刻、映像、インスタレーション、パフォーマンスなどを制作する。主な個展に「Compositions」(Pioneer Works 、ニューヨーク/ 2018)、「~ ing」(資生堂ギャラリー、東京 / 2018)などがある。第69回芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。
10月6日にニューアルバム『unpeople』をリリース予定。また、9月1日からPOST(恵比寿)にて同アルバムをテーマにした展覧会を開催予定。