BOOK 本と言葉。
『近代日本人の発想の諸形式 他四篇』伊藤整 著(岩波文庫) 選・文/忘日舎Book 128 / August 24, 2018
This Month Theme素敵な生き方を感じる本。
「愛してなどいるのではなく、恋し、慕い、執着し、強制し、束縛し合い、やがて飽き、逃走しているだけなのである……「近代日本における「愛」の虚偽」(同書所収)」。 近代以降に西洋から輸入された様々な概念のうちにあって、伊藤は「愛」についても、もちろんまた見逃さなかった、ということなのだろう。ある大学の先生に教えてもらったこの言葉には、他者との関係を根源的に揺さぶり、日常に溢れかえる「それ」を突き刺す、確かな批評としていまなお屹立していると思われる。素敵とされる生き方を実践するには、他者との関わり方と同時に、自己を捉え直す作業を繰り返していくほかない。
vojitsusha 忘日舎
本と言葉と場所の可能性を広げるイベントも開催するなど、言葉にはしづらい感覚的な豊かさや感受性を育てることを目指したブックショップ。
東京都杉並区西荻北3-4-2