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選・文 / Pebbles Books / February 13, 2020 本屋が届けるベターライフブックス。
『SEMPE IN NEW YORKジャン=ジャック・サンペ ニューヨーカー イラスト集』ジャン=ジャック・サンペ 著/イラスト、宮田智子 翻訳(DU BOOKS)

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 フランスを代表するイラストレーター、ジャン=ジャック・サンぺが30年描き続けてきた『The New Yoker』の表紙イラストから、100枚がこの1冊に収められている。どの作品も、都会のアパートメントに暮らす人々の日常を少し離れた場所から優しく見守るような構図が多い。明かりを落とした一室に集まりギターを合奏する人々、窓越しに他所のパーティを一人眺める人、屋上でただ煙草をくゆらす人。みな、悠々自適にも、寂しげにも見えて、洒落ている。
 彼らの部屋が、また個性的な魅力にあふれている。ティーセット、ランプシェード、植木鉢、ラジオ……整った部屋にも、物でいっぱいの部屋にも、それぞれのスタイルと遊び心が感じられ、憧れてしまう。


選・文 / Pebbles Books / February 06, 2020 本屋が届けるベターライフブックス。『クワイエット・コーナー』山本勇樹 著(シンコーミュージック)

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 家具やファブリック、食器を選ぶように、住まいのための音楽を選ぶのも楽しい。いま音楽はクラウド上に溢れていて何でも聴ける。なのに何を聴いても心を上滑りするようで、もどかしい。本書は、しっとりとした良い音楽を親しい友人が控えめに薦めてくれるような、安心感のあるディスク・ガイド。ジャズ、フォーク、ロック、タンゴ、ボサノヴァなど、様々な国と年代から選曲するが、マニアックな知識よりも、一人の音楽家、一枚のアルバムの持つ詩情や風景を伝える文体で、音楽を選ぶ時間そのものを豊かにしてくれる。温もりのある木の家具のような音楽に出合える一冊。


選・文 / Pebbles Books / January 30, 2020 本屋が届けるベターライフブックス。『家』パコ・ロカ 著 小野耕世 監修 高木菜々 訳(小学館集英社プロダクション)

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スペインの、素朴でじわりと心に染みるグラフィックノベルの佳作。描かれるのは、荒れ果てた一軒の家だ。老いた父が亡くなり、遺された空っぽの家を片付けに、数年ぶりに息子、娘たちが戻ってくる。彼らは今ではそれぞれ家族を持ち、すっかり疎遠に。家を売ろうと修復作業を始めるが、みな忙しく、顔を合わすことはない。それぞれに家を修復するうちに、亡父と過ごした日々の記憶も蘇り、やがて彼らはゆっくりと再び心を寄せ合い、共に手を動かし、修復の完成を祝い、家は売りに出される。
 住まいに残る痕跡に触れ手入れをすることが、過去の自身と向き合うきっかけとなり、家族を緩やかにつないでいく。その過程が淡々と描かれ、かえって強く心を動かされる。


選・文 / Pebbles Books / January 23, 2020 本屋が届けるベターライフブックス。『独り居の日記』メイ・サートン 著 (みすず書房)

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「丁寧な暮らし」は、簡単ではない。私たちはみな、仕事、遊び、悩み、生活など様々なことの間で、意識と時間を巡って葛藤し続けている。彼女もそうだったのかもしれない。本書は、20世紀アメリカを代表する詩人・作家が58歳の1年間を綴った日記。自作への酷評、同性の恋人との別離、失職、父の死と、打ちひしがれた彼女は古い一軒家にひとり転居する。田舎の不便、荒屋とだだっ広い庭に手を焼き不平を言い募りながらも、手を動かし自然を感じるうちに彼女の精神は徐々に癒され、創作への情熱と思考の鋭さを取り戻していく。彼女にとって暮らしと仕事は、中年女性が自立して生きるための戦いとして、一体のものだったのではないだろうか。


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東京ドームを背に、千川通りを北へ歩いて10分の静かな住宅街にある2階建て1軒家の新刊書店。1階には文芸書や暮らしの本、絵本、文庫、雑誌。2階には芸術書、人文書、ビジネス書や、岩波文庫、ちくま文庫などを取り揃えている。
東京都文京区小石川3–26−12
電話:03-5844-6253
営業時間:13:00〜22:00
定休日:火曜、水曜
https://www.pebblesbooks.com/