BOOK 本と言葉。
『タイポさんぽ改 路上の文字観察』藤本健太郎(誠文堂新光社)Book 22 / May 06, 2016
This Month Themeいい店に出合える本。
街角で見かける一風変わった書体の看板をグラフィックデザイナーの視点で検証する、まさに散歩のお供な1冊。ここ数年品切れ状態だったので、改訂版の発売は朗報だった。著者がデザインの学校に進学し、そのままプロの現場に舞台が移っていく90年代、アナログ的なものが排除される時代の雰囲気や、その便利さゆえに画一化されていくことに対する違和感。そんなときに、目に飛び込んできた面白書体の看板たちに惹かれていったという経緯にも共感できる。よくわからないお店だけど看板の書体に惹かれて、とりあえず入ってみることは、本屋の店頭で知らない作家の本の装丁が気になって思わずジャケ買いしてしまうことと似ていて、どちらも楽しい行為だ。その先には案外面白い世界が待っている。
Kita Shoten 北書店
2010年4月、新潟市中央区に開店。北書店の「北」は、店主がかつて在籍した同市の老舗書店「北光社」に由来する。この春で開店6周年、店主の書店歴は今年で通算20年。▷新潟県新潟市中央区医学町通2-10-1 1F