MUSIC 心地よい音楽を。
土曜の朝と日曜の夜の音楽。 今月の選曲家/平松麻 vol.2July 09, 2021
July.09 – July.15, 2021
Saturday Morning

「ハッハッハッハッハアーハッハッハッハッハ」ビッグ・ママ・ソーントンの気っ風のいい笑いにつられる1曲。
元気が湧いて、朝からトンカツでもコロッケでも揚げたい気分に。そういえば学生の頃実家で、朝にランプステーキを焼くのが流行ったいっときがありました。
威風堂々の巨体がドカンと放つパンチ効いた唸り声は「ビッグママ」という愛称ぴったりで、でっかいハグをしてもらいに駆け寄りたくなる。
それに、ジェンダーを軽くフッ飛ばす存在感で、ときにスラックスを履いてステージに立ち「これがわたしの音楽だ」と、自分の魂を歌でさらに迫力づけるのが素敵。 エルヴィス・プレスリーの代表曲「ハウンド・ドッグ」(1956)は、ビッグ・ママ・ソーントンのオリジナル曲(1953)だし(正直エルヴィス・プレスリーよりカッコイイ)、なんだか土壌のようなアーティストだと思うのです。
アルバム『Blues』収録。
元気が湧いて、朝からトンカツでもコロッケでも揚げたい気分に。そういえば学生の頃実家で、朝にランプステーキを焼くのが流行ったいっときがありました。
威風堂々の巨体がドカンと放つパンチ効いた唸り声は「ビッグママ」という愛称ぴったりで、でっかいハグをしてもらいに駆け寄りたくなる。
それに、ジェンダーを軽くフッ飛ばす存在感で、ときにスラックスを履いてステージに立ち「これがわたしの音楽だ」と、自分の魂を歌でさらに迫力づけるのが素敵。 エルヴィス・プレスリーの代表曲「ハウンド・ドッグ」(1956)は、ビッグ・ママ・ソーントンのオリジナル曲(1953)だし(正直エルヴィス・プレスリーよりカッコイイ)、なんだか土壌のようなアーティストだと思うのです。
アルバム『Blues』収録。
Sunday Night

朝日新聞「ガリバー旅行記」(柴田元幸さん新訳)の挿絵仕事は週1連載で、たいへんでしょう、とよく声をかけていただくけれど、この仕事がとにかく奥深く愉しくしあわせ。
ひとつの文学作品をじっくり1年半抱えて生きる時間なんて経験したことがなかった。
ゲラと資料を頭に入れて、描きたいことを決めさえすれば、頭脳はもうほっぽって、音楽かけて手を動かすのみ。
トム・ウェイツを選んだら仕方ない、呑みたい。
キッチンに行って、「ラガヴーリン」をトポトポ3cmくらい注ぐ。
私も煙草くわえながら絵描いてみたいな〜 生まれ変わってシンガーになってみたいな〜 とかどうでもいいことを思いつつグングン描く。
この曲の歌詞の日本語訳をいつもかんがえる。
オジサンの素朴で孤独で可愛い隠った気持ち。
私ごとき者の解釈がグッとくる邦訳を生めるわけもなく。夜に、ほんと、いい歌。
アルバム『The Early Years Vol.2』収録。
ひとつの文学作品をじっくり1年半抱えて生きる時間なんて経験したことがなかった。
ゲラと資料を頭に入れて、描きたいことを決めさえすれば、頭脳はもうほっぽって、音楽かけて手を動かすのみ。
トム・ウェイツを選んだら仕方ない、呑みたい。
キッチンに行って、「ラガヴーリン」をトポトポ3cmくらい注ぐ。
私も煙草くわえながら絵描いてみたいな〜 生まれ変わってシンガーになってみたいな〜 とかどうでもいいことを思いつつグングン描く。
この曲の歌詞の日本語訳をいつもかんがえる。
オジサンの素朴で孤独で可愛い隠った気持ち。
私ごとき者の解釈がグッとくる邦訳を生めるわけもなく。夜に、ほんと、いい歌。
アルバム『The Early Years Vol.2』収録。
画家 平松 麻

1982年生まれ、東京都出身。油彩画を主として展覧会での作品発表を軸に活動する。2020年6月~2021年末まで、朝日新聞夕刊連載小説、柴田元幸新訳「ガリバー旅行記」の挿絵を担当中。森岡督行『本と店主』(誠文堂新光社)、村上春樹・アンデルセン文学賞受賞の講演テキスト『MONKEY vol.11』(SWITCH PUBLISHING)、穂村弘『きっとあの人は眠っているんだよ 穂村弘の読書日記』(河出書房新社)、三品輝起『雑貨の終わり』(新潮社)など挿画も手掛ける。マッチ箱に絵を描くシリーズ「Things Once Mine かつてここにいたもの」も発表中。