MUSIC 心地よい音楽を。
土曜の朝と日曜の夜の音楽。 今月の選曲家/青葉市子 vol.5November 30, 2018
November.30 – December.06, 2018
Saturday Morning

夢の終わりのまどろみに、静かに鳴っている。起ききってしまう前の磨り硝子のようなひとときに、遠くの誰かが優しく歌っていた。でも起きていないからわからない。ほんとうに水の中のよう。水槽から、たゆたう世界を眺めている、そんな出逢いかたをした一曲です。いま現在も、ちゃんと、起きていながら耳で聴き取ったことはない曲なのだけれど、不思議とずっと、真ん中のほかほかした部分で覚えている曲です。
アルバム『The Waters』収録。
アルバム『The Waters』収録。
Sunday Night

detune.の世界は、外れがはぐれていない、ちっちゃな音の粒も、言の葉のささやきも、みんなまとめて抱っこするような。ジャケットを描かれた西島大介さんの漫画タイトルにもなっている「すべてがちょっとずつ優しい世界」に存在しているよう。なにかを言い切ったり、決めたり、しないし、されない、浮遊する心地よさが、無邪気に、自由に音楽で遊んでいるみたいに感じます。
アルバム『オワルゼンド』収録。
アルバム『オワルゼンド』収録。
音楽家 青葉 市子

2010年よりソロ作品を発表。最新作は6枚目となるアルバム『qp』(10月24日発売)。そのほかに、細野晴臣、坂本龍一、小山田圭吾、U-zhaanとのスタジオ・セッションをCD化した『ラヂヲ』や、ビートメーカーSweet Williamとのコラボシングル『からかひ』、マヒトゥ・ザ・ピーポーとのユニット"NUUAMM"名義でも作品をリリース。2018年は台湾・タイ・マレーシア・シンガポール・香港を回る自身3回目となるアジアツアーを開催。同年秋からは『ichiko aoba qp tour 2018 - 2019』として全国27箇所29公演を回る。
その他、キユーピー、小田急ロマンスカー、東京エレクトロン、タマホーム等の CM 音楽や『百鬼オペラ 羅生門』『わたしは真悟』『レミング~世界の涯まで連れてって~』『cocoon』等舞台作品への参加、短編アニメ『ブレードランナー ブラックアウト 2022』ではヒロイン・トリクシー役の声優を担当した。また、ちくま書房 PR 誌にて短編小説の執筆を 行う等、多岐にわたり活動中。