MUSIC 心地よい音楽を。
土曜の朝と日曜の夜の音楽。 今月の選曲家/アン・サリー vol.2January 11, 2019
January.11 – January.17, 2019
Saturday Morning

舞台に上がり大勢の聴衆を前に歌うとき、
人の身体は自然な反応として、
血圧、脈拍、呼吸は増え、筋はこわばり、
冷汗、動悸、不安を自覚する。
これは動物に備わった身を守るための
本能的機能であって、
欠くべからざるものである。
その生理的現象をむしろ対極へコントロールし、
落ち着き払い、筋を弛緩させ、
目に見えぬ音の粒に集中する。
その無防備さはまるで、
聴衆を前に素裸で立つようなものだ。
まして、心の奥深くに潜むものを
声に乗せ赤裸々に吐露するのだから、
それはまさに内臓までさらすような行為なのである。
だからこそ、その告白が真なればなるほど、
聴くものは深く心震わされ、それは忘れられない経験となる。
アルバム『Live In Europe』収録。
人の身体は自然な反応として、
血圧、脈拍、呼吸は増え、筋はこわばり、
冷汗、動悸、不安を自覚する。
これは動物に備わった身を守るための
本能的機能であって、
欠くべからざるものである。
その生理的現象をむしろ対極へコントロールし、
落ち着き払い、筋を弛緩させ、
目に見えぬ音の粒に集中する。
その無防備さはまるで、
聴衆を前に素裸で立つようなものだ。
まして、心の奥深くに潜むものを
声に乗せ赤裸々に吐露するのだから、
それはまさに内臓までさらすような行為なのである。
だからこそ、その告白が真なればなるほど、
聴くものは深く心震わされ、それは忘れられない経験となる。
アルバム『Live In Europe』収録。
Sunday Night

夜更けに独り、ピアノを前に灯りを落とし、
身体の中から自然にあらわれる音に身を委ねる。
習慣や癖、街中に溢れる雑音に
惑わされることなく、
心の奥深くから立ちのぼる音だけを
注意深く選び取り、
声として発する。
その音は、彫像が木の塊の中から
掘り出されるのを待つように、
前の音がその因果として次の音を導き、
その連続がメロディーという軌道を描く。
晴ればかりは続かないが、
同時に降りやまぬ雨がないように、
メロディーはごく自然に転結を誘い込む。
そうして紡がれる物語に身を浸す
日曜の夜の至福。
アルバム『Piano & a Microphone 1983』収録。
身体の中から自然にあらわれる音に身を委ねる。
習慣や癖、街中に溢れる雑音に
惑わされることなく、
心の奥深くから立ちのぼる音だけを
注意深く選び取り、
声として発する。
その音は、彫像が木の塊の中から
掘り出されるのを待つように、
前の音がその因果として次の音を導き、
その連続がメロディーという軌道を描く。
晴ればかりは続かないが、
同時に降りやまぬ雨がないように、
メロディーはごく自然に転結を誘い込む。
そうして紡がれる物語に身を浸す
日曜の夜の至福。
アルバム『Piano & a Microphone 1983』収録。
シンガーソングライター アン・サリー

2001年『Voyage』でアルバムデビュー。2003年『Day Dream』『Moon Dance』のロングセラー以後、待望の最新CD『Bon Temps』を含む、多数アルバムを発表。また数々のCMや映画の主題歌を歌唱し、日本全国、アジア地域で演奏活動を広げるシンガー&ドクター。暮らしの中で緩やかに芽吹いた日々の想いは、ほころぶ花のように芳醇な歌声と、花蜜の抽出された名曲群へと昇華され、幅広い層に届けられている。