Music土曜の朝と日曜の夜の音楽。

March 04, 2016 今月の選曲家 橋本徹

Mar. 04 – Mar. 10, 2016

Saturday Morning

D'Angelo Voodoo &Premium
Title.
Feel Like Makin’ Love
Artist.
D’ANGELO
早春。この季節、休みの朝は「公園をゆっくり歩きながら、冬から春へと移ろいゆく風景を眺めていると」と歌いだされるこのメロディーを口ずさみ、駒沢公園を散歩しています。大好きなユージン・マクダニエルズの書いた曲、メロウ・グルーヴの代名詞のような。ビターなリリシズムを感じさせる彼の作風には珍しくロマンティックな歌。マリーナ・ショウ/ロバータ・フラック/メタ・ルースといった愛おしいジャズ〜ソウルの女性ヴォーカル名演もいいですが、やはり色気のある男性ヴォーカルを。吐息のように、ファルセットをまじえて歌うディアンジェロ。中毒性の高い、クール&ストイックなグルーヴ。それは水瓶座のソウル・ミュージック。歌詞の一節のように、「レストランでキャンドルの灯りに手をとりあう」週末の夜を期待して、愛のためいき。
アルバム『Voodoo』収録。

Sunday Night

EverythingButTheGirl Idlewild &Premium
Title.
Goodbye Sunday
Artist.
Everything But The Girl
さようなら日曜日。翳りゆく部屋で、ほのかな春の予感と共に、優しくたおやかな、少し切ない歌声に耳を傾ける。EBTGはトレイシー・ソーンとベン・ワットの夫婦デュオ。大学でお互い自主制作でレコードを作っていて、それが同じインディー・レーベルから出たことで知り合い、やがて恋に落ち、一緒に音楽をやっているうちに結ばれた二人。そうした人生の年輪が刻まれた、人肌の温もりを感じさせるアコースティックなサウンドと、Go-Goを下敷きにしたゆるやかなミディアムのグルーヴ。この曲を収めた『Idlewild』は、“ささやかな幸福”感を湛えたアルバムで、ザ・スミスの『The Queen Is Dead』も手がけたCaryn Goughによるアートワークも素敵ですね。トレイシーがベンに捧げた愛の歌「Apron Strings」も、そんなささやかな幸せを照らす素晴らしいラヴ・ソングです。
アルバム『Idlewild』収録。

SUBURBIA橋本徹

編集者/選曲家/DJ/プロデューサー。〈サバービア・ファクトリー〉主宰。渋谷の〈カフェ・アプレミディ〉〈アプレミディ・セレソン〉店主。『フリー・ソウル』『メロウ・ビーツ』『アプレミディ』『ジャズ・シュプリーム』『音楽のある風景』『Good Mellows』シリーズなど、選曲を手がけたコンピCDは290枚を超える。USENで音楽放送チャンネル「usen for Cafe Apres-midi」「usen for Free Soul」を監修・制作。著書に『Suburbia Suite』『公園通りみぎひだり』『公園通りの午後』『公園通りに吹く風は』『公園通りの春夏秋冬』などがある。2016年最初のCDリリースは『Ultimate Free Soul 90s』。 http://apres-midi.biz