Music

今月の選曲家 山本勇樹January 02, 2016

Jan. 1 – Jan. 7, 2016

Saturday Morning

M_01
Title.
Happy Good Morning Blues
Artist.
Bruce Cockburn
土曜日の朝、穏やかな冬の光に包まれて、丁寧に淹れたコーヒーとともに聴きたい音楽があります。カナダのシンガー・ソングライター、ブルース・コバーンによる「ハッピー・グッド・モーニング・ブルース」(タイトルも素敵です)。淡々と爪弾かれるアコースティック・ギターとジェントルな語り口、後半のマウスペットにも素朴な雰囲気が感じられますが、凛とした佇まいからどこか知的で哲学者のような表情ものぞき見られて魅力的です。まさに雪景色を映したモノクロ・ジャケットそのままの世界観とでもいいましょうか。なぜか寒い国には心を惹かれる音楽が多い気がします。ジョニ・ミッチェル、トニー・コジネク、ロン・セクスミス、ダイアナ・パントン……。そう、みんなカナダ出身なのです。
アルバム『High Winds White Sky』収録

Sunday Night

N_02
Title.
My Bells
Artist.
Bill Evans
日曜日の夜にどんな音楽を流しますか? 仕事柄、こうして毎日大量に音楽を浴びていると、自然と静かなレコードやCDに手が伸びてしまうというか、身体が欲しているわけですが、このビル・エヴァンスの曲もそんな精神安定剤のような存在です。もちろん「ワルツ・フォー・デビー」や「ポルカ・ドッツ・ムーンビームス」のような有名なトリオ曲でもよいわけですが、やはりこのクラウス・オガーマンが手がけた流麗なオーケストレーションとの共演は格別です。フォーレ、スクリャービン、バッハやショパンに並んでいてもまったく違和感のないオリジナルの「マイ・ベルズ」。澄んだピアノの音色とたおやかな弦の響きは、英国製のナチュラルな音を鳴らすスピーカーQUAD社のブックシェルフ型のスピーカーがよく似合います。できれば小さな音量でぜひ。
アルバム『Bill Evans Trio with Symphony Orchestra』収録
&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

音楽好きの“選曲家”たちが月替わりで登場し、土曜の朝と日曜の夜に聴きたい曲を毎週それぞれ1曲ずつセレクトする人気連載をまとめた「&Music」シリーズの第2弾。 23人の選曲家が選んだ、週末を心地よく過ごすための音楽、全200曲。 本書のためだけにまとめた、収録作品のディスクガイド付き。

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Quiet Corner 山本 勇樹

HMV本部でワールド/ジャズを統括後、現在は〈HMV&BOOKS TOKYO〉で音楽バイヤーを担当。多数のCDの選曲やライナー・ノーツを手がけ、2010年より音楽文筆家の吉本宏氏と共に〈bar buenos aires〉を主宰しCDの制作やライブの企画を行う。2014年にディスクガイド『Quiet Corner』(シンコーミュージック)を刊行。またUSEN550にて同チャンネルの選曲も手掛ける。2015年には文具メーカー〈DELFONICS〉とコラボレーションしてコンピレーションを発表。

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