台湾スイーツ食べ比べ

台湾らしいアイデアが光る個性豊かな進化形豆花。【&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ 】February 20, 2023

進化形豆花
 大豆を原料とし、豆腐に似た味わいを誇る豆花は、つるりとした食感と優しい甘さが魅力。今も昔も老若男女に愛されている台湾スイーツだ。見た目も味もシンプルなため、創意工夫をしやすく、ユニークな発想により様々なバリエーションが生まれている。当連載では以前も取り上げたが、最近も特色ある豆花店が次々と登場している。今回紹介するのは『永春豆花 SOYYOUNG』と『榕美樹館』の2軒。前者は原料に米を混ぜた豆花のほか、台湾茶を用いた甘いスープやサプリで使われる「コエンザイムQ10」の具材がウリ。後者は独自に開発した「わらび餅風の仙草(ハーブの一種)ゼリー」などの手作り具材に個性が光る。店はいずれも洒落た作りで居心地がいい。業界に新風を吹き入れている2軒だ。
進化形豆花<i>&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ </i>

伝統的な豆花とこだわりのトッピングで話題。

  MRT雙連駅近くにある茶芸館のような雰囲気の店。2年前から裏手にあるビルの2階で豆花の研究を続けていたが、試験販売を始めたところ、口コミであっという間に人気店へ。ここに店を構えたのは2022年の夏。店主によれば、ガジュマルの下で三輪車を引っ張りながら豆花を売っていた大叔父の姿が忘れられず、往時の作り方と味を追い求めたとのこと。トッピングは歯ごたえのある芋団子のほか、仙草の煮汁にサツマイモの粉を加えた「仙草粉粿」が人気。生地を何度も叩いてできたもので、弾力性のある食感がたまらない。このほか、軟らかく煮込んだピーナッツや黒糖タピオカ、ピーナッツ入り麦芽糖の削り粉をまぶした「花生花生」もおすすめ。食感の変化を楽しめる逸品。

榕美樹館
ロンメイシューグワン

台北市中山區民生西路66巷21號 ☎02−2523−3459 12:00~20:00 月、旧正月休 写真の「仙草仙草」は90元、「花生花生」は100元。

榕美樹館(ロンメイシューグワン)
進化形豆花<i>&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ </i>

美容効果も!? オリジナルの具材とお茶シロップ。

 2022年7月のオープン。ガラス張りの店内にはカウンター席が一列に並び、カフェのような雰囲気だ。ここの豆花は雲林県産のコシヒカリを混ぜており、滑らかでありながらも、モチッとした食感。甘いスープは大稲埕にある茶葉の老舗『有記名茶』とコラボしたもので、キンモクセイの花で燻した烏龍茶を使用している。ほのかに漂う茶の香りと上品な甘さが特徴で、甘さが足りなければ加えることもできる。トッピングには小豆やピーナッツ、タピオカのほか、研究室で開発された「コエンザイムQ10」が目玉。味はないが、ゼリーのような食感だ。店名の「永春」は「永遠の若さ」という意味で、場所もわざわざ永春駅の近くを選んだのだとか。将来的には東京に進出する予定があるという。

永春豆花 SOYYOUNG
ヨンツントウホワ・ソイヤング

台北市信義區忠孝東路五段270號 ☎02−8786−7222 12:00~20:00 旧正月休 Q10やタピオカ入りは60元、小豆入りは50元。

永春豆花 SOYYOUNG(ヨンツントウホワ・ソイヤング)

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 111 2023年3月号「&Taipei」に掲載されたものです。


台北在住ライター・コーディネーター 片倉真理

1999年から台北に暮らす。台湾に関する書籍の執筆、製作のほか、雑誌のコーディネートなども手がける。台湾各地を隈なく歩き、料理やスイーツから文化、風俗、歴史まで幅広く取材。著書に『台湾探見』、共著に『台湾旅人地図帳』(共にウェッジ)、『食べる指差し会話帳』(情報センター出版局)など。

instagram.com/marikatakura

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