台湾スイーツ食べ比べ

ヘルシーで華やか。唯一無二の漢方スイーツ。【&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ 】November 14, 2022

「漢方スイーツ」
 日々の暮らしにも東洋医学が根付いている台湾。随所で漢方薬局を目にするほか、薬膳料理や生薬を用いた伝統スイーツもしっかりと定着している。そんななか注目を集めているのが新感覚の漢方スイーツだ。一軒は2022年8月に正式オープンし、オリエンタルな内装が評判の漢方喫茶『仙島SENTO』。羅漢果や生薬を用いた斬新な味わいのドリンクやスイーツが楽しめる。もう一軒は漢方薬局に併設された『一滴滴。漢方甜點工作室』。ここでは生薬を用いたケーキを供している。漢方といえば「苦い」というイメージを禁じえないが、この2軒ではそういった印象が覆される。おいしい上に美しく、さらに体にも優しいといういいことずくめの漢方スイーツ。新たな甘味の世界を探索してみよう。
漢方薬局で味わう甘さ控えめな漢方ケーキ。

漢方薬局で味わう甘さ控えめな漢方ケーキ。

 漢方薬局『信源蔘藥行(シンユエンセンヤオハン)』に同居するデザート店。店主の王心盈(ワンシンイン)さんは「若い世代にも漢方に親しんでもらいたい」という願いを抱き、漢方薬剤師である父親のアドバイスを得ながら、ケーキやドリンクの開発に勤しんでいる。看板商品はポルトガルの「セラドゥーラ」をモチーフにした「木屑蛋糕(ムーシュエタンガオ)」。砕いたクッキーとムースを交互に重ね、季節に合わせ、五臓六腑に効く素材を組み合わせている。例えば、「春桂」は肝臓に良いとされるキンモクセイと包種茶、「夏洛」は新陳代謝を促すローゼルとバラの花、「秋合」は肺に優しい百合と決明子、「冬杞」は腎臓に効く枸杞の実とココアを使用。特に「夏洛」と「秋合」が人気だという。座席数は限られているため、テイクアウトする常連が多い。

一滴滴。漢方甜點工作室
イーディーディー・ハンファンティエンディエンコンツオスー

台北市松山區復興北路427巷20號 ☎02‒8712‒0058 10:30~18:30 日月休 木屑蛋糕は各140元。冬草ラテなどの漢方ドリンクもあり。

一滴滴。漢方甜點工作室(イーディーディー・ハンファンティエンディエンコンツオスー)
ドリンク業界に新風を吹き込む極上の漢方茶。

ドリンク業界に新風を吹き込む極上の漢方茶。

 ここの看板商品は何といっても漢方ドリンク。もはや芸術品のようにも見えてしまう美しさだ。左奥の「真山煙嵐/山茶」は阿里山青茶にグァバエキスと生薬の「野生木香」を加えたもので、爽やかな風味が自慢だ。これにクチナシの花や紅麹、人参といった天然色素を用いたタピオカが添えられる。これはお茶には入れず、飲みながら一口ずつ食べていくというスタイル。また、右奥の「老魂香/焔茶」は柑橘の葉を燻した煙とともにやってくる。陳皮(干したオレンジの皮)とレモングラス風味のスパイス「馬告」を加えた紅茶とともに、泡状のオレンジムースを味わう。甘味、苦味、酸味のバランスが絶妙だ。そのほか、亀ゼリーやプリンも人気。いずれもカロリーゼロの羅漢果糖を用いている。

仙島SENTO
シエンダオ・セント

台北市大同區承德路三段90巷2號 ☎02‒2595‒3757 12:30~19:30(土日11:30~) 月火休 「真山煙嵐/山茶」は240元。予約がベター。

仙島SENTO シエンダオ・セント

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 108 2022年12月号「&Taipei」に掲載されたものです。


台北在住ライター・コーディネーター 片倉真理

1999年から台北に暮らす。台湾に関する書籍の執筆、製作のほか、雑誌のコーディネートなども手がける。台湾各地を隈なく歩き、料理やスイーツから文化、風俗、歴史まで幅広く取材。著書に『台湾探見』、共著に『台湾旅人地図帳』(共にウェッジ)、『食べる指差し会話帳』(情報センター出版局)など。

instagram.com/marikatakura

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