花屋『みたて』の「折々に見立てる、京の暮らし」

February 17, 2022 鬼門除けの「節分の飾り」。花屋『みたて』の「折々に見立てる、京の暮らし」 Vol.33

花屋<みたて>に習う植物と歳時記 折々に見立てる 京の暮らし
 

四季折々に迎える歳時記を、京都の花屋『みたて』が植物を通して表現。一つの作品を通して、京都ならではの生活が見えてきます。

 
鬼門除けの「節分の飾り」。

鬼門除けの「節分の飾り」。

 鬼門とは北東のことで、十二支では丑と寅の間にあることから艮(うしとら)とも呼ばれる。陰陽道では鬼が出入りするといわれて縁起が悪く、なにごとにも避けるべき方角とされる。反対の南西=坤(ひつじさる)は裏鬼門で、こちらも同様に忌むべき存在。鬼門除けを街のあちこちで目にするのも、京都らしい光景のひとつだ。たとえば比叡山延暦寺は平安京の鬼門除けとして建立された歴史を持つ。京都御所や東本願寺は敷地の北東角を凹ませ、鬼門そのものをなくしている。京都御所にいたっては凹ませた築地塀(ついじべい)の屋根裏に、さらに烏帽子をかぶり御幣を担いだ木彫りの猿を安置。艮の対向が坤であることから鬼門に対抗し、まさると読まれる神猿は魔が去る・勝るに通じることから鬼門封じとされる猿。比叡山延暦寺の 守社・日吉大社の神使いでもある猿を祀り、鬼門を守っている。
 鬼門除けとして魔除けの植物を植えることもある。魔除けの尖った葉を持つ柊。難転という言葉に通じて難を転じて福となす意味と、赤い実が魔除けの力があるとされる南天。柊の葉と南天の実を、家形の紙立体に添えたのが『みたて』節分のあしらい。豆まきで鬼門から鬼を追い出すことからイメージを膨らませた。小さく可愛らしい厄除けは、さりげなく居宅を守ってくれそうだ。

photo : Kunihiro Fukumori edit & text : Mako Yamato
*『アンドプレミアム』2018年3月号より。


花屋 みたて

和花と花器を扱い、四季の切り取り方を提案する京都・紫竹の花屋。西山隼人・美華夫妻がすべてを分担し営む。

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