花屋『みたて』の「折々に見立てる、京の暮らし」
一期一会の「秋のスケッチ」。Vol.30 / January 27, 2022

四季折々に迎える歳時記を、京都の花屋『みたて』が植物を通して表現。一つの作品を通して、京都ならではの生活が見えてきます。

一期一会の「秋のスケッチ」。
爽やかに吹き抜ける秋風とともに、季節が変わったことを伝えてくれるのは色づく木々や草花。名所といわれる場所へ足を運ぶまでもなく、鴨川や下鴨神社の南に広がる糺の森をそぞろ歩けば、日一日と深まってゆく秋を堪能することができるのが京都の魅力でもある。黄色やオレンジ、赤と植物ごとに異なる色合い。緑から黄色や赤へと移るグラデーション。時折虫に喰われた様もまた美しい。木々の紅葉や草花の草もみじなど、色づいた葉が秋を運んでくれるようだ。
マルバマンサク、ハクサンフウロ、アキノキリンソウ、ノウルシ、ウメモドキ、ナナカマド、カマツカ、ツリバナ、ヤマモミジ、ノコンギク、ガマズミ、アキカラマツ、シロバナホザキマンサク、シモツケ、ヤマニシキギ。色づく草花を中心に、まるでスケッチするように古い画板の上の画用紙に散らしたのが、『みたて』ならではの秋のインスタレーション。葉の形はもちろん、紅葉(こうよう)、黄葉(おうよう)、褐葉(かつよう)と色づき方も様々。枯れてしまうまでのほんのひととき、束の間を楽しむ「秋のスケッチ」は自然の造形美をくっきりと浮かびあがらせている。
11月に入れば紅葉の見頃はもうまもなく。深まりゆく秋への期待を高め、部屋へ秋をそっと届けてくれるような素朴さに惹かれる一幅だ。
photo : Kunihiro Fukumori edit & text : Mako Yamato
*『アンドプレミアム』2017年12月号より。
花屋 みたて
和花と花器を扱い、四季の切り取り方を提案する京都・紫竹の花屋。西山隼人・美華夫妻がすべてを分担し営む。



























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