とにかく「しまう家」の、アイデアと工夫。House of Ingenuity
Sanitary Space_兼ねるアイデアを駆使した、スリム構成。とにかく「しまう家」の、 アイデアと工夫。February 14, 2024
夫婦揃って建築士である青柳綾夏(あやか)さんと創(はじめ)さんが暮らす、ふたりが設計した家。とにかくしまうアイデアいっぱいの家、続いてのサニタリースペースのアイデアを紹介します。
最大の特徴は、洗面所、トイレ、バスルーム、脱衣所、洗濯機置き場、そのどれもがちゃんとは独立していないこと。鏡が開閉可能な壁を兼ね、一枚のドアが脱衣所のドアにも洗濯機置き場のドアにもなる。屋上に繋がる階段はバスルームの一部で、そこで体も洗える。「我が家では何かが何かを兼ねてくれないと、生活スペースは狭くなるばかり。でも『いたしかたなく』ではなく『ムダを省いた』ポジティブな設計なんです」(綾夏さん)。“兼ねる”は青柳邸の随所に見られるが、清潔を心がければ、水回りでもそれが叶う。脱衣スペースの壁に設置した〈旭イノベックス〉のタオルウォーマーが除湿にも有効。
House of Ingenuity とにかく「しまう家」の、アイデアと工夫。
夫婦揃って建築士という、青柳綾夏(あやか)さんと創(はじめ)さんが暮らすのは、ふたりが設計した家。予算が限られていたため、あえて相場より安い特殊な土地を探し、見つけたのは、高低差が4m以上ある建坪約24㎡の土地。家の一部は傾斜地に食い込むようにして立つ。コンパクトな家になることは明らかだったが、「ふたりして物を出しておきたくないタイプ。にもかかわらず、片付けが苦手なので、物の居場所を決めた上での収納の確保が大きな課題となりました」と綾夏さん。創さんいわく、「辿り着いた答えは、機能や場所をまとめ合わせること。省スペースを図るのはもちろんのこと、何より”しまいやすく””しまい込める”家づくりです」。階段途中にキッチンが現れ、バスルームは階段の踊り場で、階段は洗い場といった具合。とにかくしまうアイデアいっぱいの家を拝見する。
青柳綾夏 / 青柳 創一級建築士 / 一級建築士
妻の綾夏さんは筑波大学大学院修士課程修了。東京・杉並区で〈アオヤギデザイン〉を主宰、住宅や商業施設なども手がける。夫の創さんは東京藝術大学大学院修士課程修了。現在は設計事務所勤務。夫妻は4年前、現在小学4年生の未詠ちゃんと今の家に引っ越してきた。
photo : Yuka Uesawa illustration : Shinji Abe (karera) edit & text : Koba.A