長田佳子の季節のハーブを愉しむお菓子。

vol.7 ローズマリーのフランネルケーキHerbal Sweets / October 21, 2020

自然からのいただきものであるハーブの力を取り入れて、心と体に優しく寄り添う「レメディ」のようなお菓子を作る〈foodremedies〉として活動する菓子研究家の長田佳子さん。砂糖にはない甘さやほのかに感じる苦味、鼻をくすぐるいい香り——。ハーブはそのときの心と体の状態によって、五感で感じ取るものが繊細に変化する奥深さを秘めた暮らしに役立つ植物です。そんな季節のハーブを使った長田さんオリジナルのお菓子のレシピを紹介するこの連載。第7回は「ローズマリーのフランネルケーキ」をお届けします。

This Month's Herbal Sweets

「ローズマリーのフランネルケーキ」

ローズマリーのフランネルケーキ 

休日ブランチの定番にしたい、モチモチのフランネルケーキ。

休みの日はアラームをかけず、いつもよりのんびり起きるのが小さな幸せだ。時計の針は、朝ごはんには遅く、ランチを食べるには早い微妙な時間。そんなときは、とても簡単に作れるローズマリーのフランネルケーキを。前もって、生地のもととローズマリーを漬けた蜂蜜のシロップを用意しておけば、ゆったりとした休日を楽しむスタンバイも万全。ローズマリーは、細かく刻んで生地に加えてみるのもおすすめです。起き抜けにお腹がすいていても、サッとフライパンで焼けば4分で作れる手軽さに、思わず笑みがこぼれます。生地が徐々に焼けて、ふわりと立ち上る香ばしさにもうっとり。
一見、パンケーキのように見えても、食感は口の中でふわりと溶けていくそれとは違い、より弾力があるモチモチとしたパンのよう。例えるなら、ロシアを代表する家庭料理のブリヌイにも似ています。その秘密は、パン作りに欠かせないドライイーストを使っているから。しっかりと歯ごたえがあって、満足感があります。カトラリーでスマートにいただいてももちろんいいですが、パンのように手でちぎって頬張ってみても、おいしくいただけます。そして、蜂蜜に漬け込んだローズマリーの爽やかな香りは、頭をスッキリと目覚めさせてくれるはず。ぜひ、週末ブランチの定番にして、機嫌よく一日をスタートしてみてください。

ローズマリー
ローズマリー

シソ科に属する常緑低木。学名は「Rosmarinus(ローズマリナス)」。ラテン語で、ローズマリーの花の色や形を「海のしずく」に例えたもの。爽やかな香りが 特徴的で古代ギリシャ・ローマ時代から若さを保つ薬草として重宝されてきました。 抗菌作用や抗酸化作用に優れているので、風邪や頭痛、消化不良を和らげたいときに 活用するのもおすすめ。料理に使うハーブとしても人気が高く、肉や魚の臭み消し、風味づけ、旨味を引き出す力を持った万能さが魅力です。カットフルーツと一緒にミネラルウォーターに浸けて、ハーブウォーターにして楽しんでみても。
 

レシピ2人分

・蜂蜜 適量
・ローズマリー適量
・薄力粉70g
・きび砂糖7g
・スキムミルク5g
・ドライイースト0.5g
・塩1g
・牛乳80g
・バター10g *溶かして使用

How to cook

1. 蜂蜜にローズマリーを入れ、常温で2日以上漬けておく。
1. 蜂蜜にローズマリーを入れ、常温で2日以上漬けておく。
2. ボウルに薄力粉、きび砂糖、スキムミルク、塩、ドライイーストをふるい入れる。
2. ボウルに薄力粉、きび砂糖、スキムミルク、塩、ドライイーストをふるい入れる。
3. 2に牛乳を加え、ホイッパーで粉けがなくなるまで混ぜたら、溶かしたバターを加え、よく混ぜて冷蔵庫で一晩置く(常温で30分〜1時間ほど置き、すぐに焼いてもOK)。
3. 2に牛乳を加え、ホイッパーで粉けがなくなるまで混ぜたら、溶かしたバターを加え、よく混ぜて冷蔵庫で一晩置く(常温で30分〜1時間ほど置き、すぐに焼いてもOK)。
4. フライパンに薄く2ml程度油をひき、生地を流したら弱火で焼いて、裏返してさらに焼く。焼き時間は、両面で合計4分程度を目安に。
4. フライパンに薄く2ml程度油をひき、生地を流したら弱火で焼いて、裏返してさらに焼く。焼き時間は、両面で合計4分程度を目安に。
ローズマリーのフランネルケーキ 

photo: Hiroko Matsubara edit & text : Seika Yajima
ハーブ:まるふく農園 キッチンクロス提供:FLUFFY AND TENDERLY
器:D+E MARKET 他

菓子研究家 長田佳子

<プロフィール>

菓子監修 長田佳子〈foodremedies〉
菓子研究家。レストラン、パティスリーなどでの修業を経て、YAECAフード部門「PLAIN BAKERY」でメニュー開発、お菓子の製造を担う。2015年に独立。〈foodremedies〉という屋号でハーブやスパイスなどを使ったまるでアロマが広がるような、体に素直に響くお菓子を研究している。著書に『foodremediesのお菓子』(地球丸)、『全粒粉が香る軽やかなお菓子』(文化出版局)などがある。

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