MUSIC 心地よい音楽を。

今月の選曲家 山本勇樹January 22, 2016

Jan. 22 – Jan. 28, 2016

Saturday Morning

山本さん土曜 &Premium
Title.
Rainbow Connection
Artist.
Diana Panton
昨年いろんなライブを観ましたが、その中で最も感動したのがダイアナ・パントンでした。彼女はカナダを代表するジャズ・ヴォーカリストとして、ここ数年日本でも人気が高く、まさに待望といえる初来日公演にはぜひ、この目で観たいと友人もわざわざ遠方から訪れたほど。さて、今回ご紹介する「レインボウ・コネクション」は、言わずと知れたポール・ウィリアムスが書いた名曲で数多くのカバー・バージョンも残されています。ほっこりするようなメロディーとダイアナのやさしい歌声の相性も抜群。休日の朝にラジオからふと流れてきたら、それだけで今日一日がハッピーになるような不思議な魅力があります。この曲が収録されたアルバムのジャケットは、絵本のように可愛いので思わず手が伸びます。そうそう、つい先日アナログ盤の発売も決まったみたいです!
アルバム『I Believe In Little Things』収録。

Sunday Night

山本さん日曜 &Premium
Title.
Fall
Artist.
Ketil Bjørnstad, Svante Henryson
ピアノとチェロによる音の対話、クラシカルでシネマティックな音像、余白と余韻、隅々まで美学が行き届き、時が止まるような静けさに満ちています。この曲が収録されたアルバムは、「沈黙の次に最も美しい音」というコンセプトを掲げるドイツの名門ECMから発表されています。もちろんアノニマスなアートワークも素晴らしい。ECMの作品には演奏がはじまる前に、ほんのひとときの無音部分が用意されています。以前、音楽家の伊藤ゴローさんは、そのことについて「ECMのすべてを物語っている」と語っていました。たしかにこの沈黙は聴き手を、どこか特別な場所へ連れて行ってくれるような気がします。夜空のむこうに明日が見える前に、そっと耳を傾けてみたくなります。
アルバム『Night Song』収録。
&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

音楽好きの“選曲家”たちが月替わりで登場し、土曜の朝と日曜の夜に聴きたい曲を毎週それぞれ1曲ずつセレクトする人気連載をまとめた「&Music」シリーズの第2弾。 23人の選曲家が選んだ、週末を心地よく過ごすための音楽、全200曲。 本書のためだけにまとめた、収録作品のディスクガイド付き。

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Quiet Corner 山本 勇樹

HMV本部でワールド/ジャズを統括後、現在は〈HMV&BOOKS TOKYO〉で音楽バイヤーを担当。多数のCDの選曲やライナー・ノーツを手がけ、2010年より音楽文筆家の吉本宏氏と共に〈bar buenos aires〉を主宰しCDの制作やライブの企画を行う。2014年にディスクガイド『Quiet Corner』(シンコーミュージック)を刊行。またUSEN550にて同チャンネルの選曲も手掛ける。2015年には文具メーカー〈DELFONICS〉とコラボレーションしてコンピレーションを発表。

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