MUSIC 心地よい音楽を。
今月の選曲家 山本勇樹January 15, 2016
Jan. 15 – Jan. 21, 2016
Saturday Morning

彼らの音楽とはじめて出会ったのは、確か6、7年前だったと思います。きっかけは、音楽ライターの栗本斉さんがアルゼンチン音楽をコンパイルしたCD『オーガニック・ブエノスアイレス』でした。透明感あふれる音色と浮遊感ただよう旋律。それはジャズやブラジル音楽とは異なる風合いで、今までに体験したことがない感覚でした。2005年に発表された『水の光』と題されたアルバムはとにかく珠玉の内容で僕のまわりでも人気がありますが、なんと昨年、10年ぶりの続編が届けられました(国内盤がバー・ブエノスアイレス・レーベルから)。この曲はそこに収められた一曲です。きらきらと輝くピアノはセバスティアン・マッキ、そしてそよ風のように優しいパーカッションはカルロス・アギーレです。
アルバム『LUZ DE AGUA : Otras Canciones』収録
アルバム『LUZ DE AGUA : Otras Canciones』収録
Sunday Night

その名も「夜の音楽」。フランスのチェロ奏者のヴァンサン・セガールと、アフリカのコラ奏者のバラケ・シソコによるデュオ演奏です。コラとは別名アフリカン・ハープと呼ばれる民族楽器で、僕も一度、彼らのステージを観たことがありますが、武骨で大きな姿からは想像できない繊細で美しい音色に驚き、感動しました。これがチェロと互いに響き合い、独特で神秘的な音楽になるのです。民族音楽とクラシックとジャズの要素が絶妙に溶けあった新しい室内楽といってもいいでしょう。こちらはアルバムの冒頭を飾る曲。心を鎮めたい時、気持ちを穏やかにしたい時によく部屋で流します。そういった意味では日曜の夜のBGMとして十分に相応しい音楽かもしれません。
アルバム『Musique De Nuit』収録
アルバム『Musique De Nuit』収録
Quiet Corner 山本 勇樹

HMV本部でワールド/ジャズを統括後、現在は〈HMV&BOOKS TOKYO〉で音楽バイヤーを担当。多数のCDの選曲やライナー・ノーツを手がけ、2010年より音楽文筆家の吉本宏氏と共に〈bar buenos aires〉を主宰しCDの制作やライブの企画を行う。2014年にディスクガイド『Quiet Corner』(シンコーミュージック)を刊行。またUSEN550にて同チャンネルの選曲も手掛ける。2015年には文具メーカー〈DELFONICS〉とコラボレーションしてコンピレーションを発表。