MUSIC 心地よい音楽を。
音楽家、音楽プロデューサー 冨田ラボ・冨田恵一さんが選ぶ土曜の朝と日曜の夜の音楽。vol.1June 06, 2025
June.06 – June.12, 2025
Saturday Morning

せっかくの週末は元気に楽しく過ごしたいと思うが、音楽に無理やりアゲられるのも癪である。適度にリラックスさせてくれながら、聴いているうちに元気になってくる曲を探してみた。活動歴40年以上になる米西海岸老舗フュージョン・バンド、イエロージャケッツの1991年リリース・アルバム1曲目にしました。リーダー、キーボーディストのラッセル・フェランテはたいへん優れた作曲家だが、なぜか日本での評価はそれほど高くない——表面的なポップネスに真摯な音楽性が埋没してしまうのだろうか。高度な構築とインプロヴィゼーションのバランスが絶妙だが、両者はシームレスに繋がり、聴き手である我々は音楽に身を委ねてさえいればいい。それだけでポジティヴなエネルギーを受け取ることができますから。そんな曲を作れるコンポーザーは一握りに過ぎず、フェランテがその一人なのは間違いないですね。これを聴いて、自分に丁度良いペースで週末を始めよう。
アルバム『Greenhouse』収録。
アルバム『Greenhouse』収録。
Sunday Night

楽しかった週末を反芻するのも、明日以降を慮って気合を入れ直すのも良いが、まずは良質な睡眠を心がけたいところ。寝過ごさない程度に熟睡できそうな曲を探してみた。
米インディーシーンで2002年から活動を続ける彼らは、結成当時デイヴ・ロングストレスのソロプロジェクトだったが、いまはバンド編成。選出した曲には美しさとちょっとした奇妙さが同居しているが、それらの共存こそが彼らの特徴だ。だいたいの場合”美しい”が”奇妙さ”を上回るバランスになっているところが魅力。ポップだがアヴァンギャルド、フォーキーだがノイジー、アカデミックでパンキッシュ。二律背反的な音楽には過度な集中力を要求するものも多いが、(特に近作の)彼らにはそういう部分は少ない。でもやっぱり奇妙ではあるから、熟睡はしても寝過ごさない程度の睡眠を提供してくれるのではないでしょうか。
収録アルバム『Song Of The Earth』収録。
米インディーシーンで2002年から活動を続ける彼らは、結成当時デイヴ・ロングストレスのソロプロジェクトだったが、いまはバンド編成。選出した曲には美しさとちょっとした奇妙さが同居しているが、それらの共存こそが彼らの特徴だ。だいたいの場合”美しい”が”奇妙さ”を上回るバランスになっているところが魅力。ポップだがアヴァンギャルド、フォーキーだがノイジー、アカデミックでパンキッシュ。二律背反的な音楽には過度な集中力を要求するものも多いが、(特に近作の)彼らにはそういう部分は少ない。でもやっぱり奇妙ではあるから、熟睡はしても寝過ごさない程度の睡眠を提供してくれるのではないでしょうか。
収録アルバム『Song Of The Earth』収録。
音楽家、音楽プロデューサー 冨田ラボ・冨田恵一

冨田ラボとして、これまでに 7 枚のオリジナルアルバムを発表。最新オリジナルアルバムは『7+』は20 名の豪華アーティストが参加。 長年に渡り冨田恵一のソロプロジェクトとして親しまれてきたが、2025年 新メンバーとして、Arche、北村蕗、Santa、 ヨウという 4 人のボーカリストが加入。新体制後初の楽曲「the birds of four」をリリース。2025 年 4 月には今年 デビュー30 周年を迎える UA をフィーチャーした新曲「あはは feat. UA」をリリース。自身初の音楽書『ナイトフライ -録音芸術の作法と鑑賞法-』は横浜国立大学の入学試験問題に採用された。オフィシャルファンサイト「冨田ラボスタジオ」では、 日々の音楽生活が豊かになるオリジナルコンテンツ情報が満載。