Music

土曜の朝と日曜の夜の音楽。 今月の選曲家/太田美帆 vol.2January 13, 2023

January.13 – January.19, 2023

Saturday Morning

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Title.
Particles
Artist.
Ólafur Arnalds
「ポストクラシカル」というジャンルが定着して久しいですけど、その中でも個人的にグッと来ているアーティストの一人が1986年生まれアイスランド出身のオーラヴル・アルナルズ。調べたら2008年にはシガー・ロスのツアーに同行しているみたいですね。そりゃ好きなワケだ。オーラヴルにまつわるエピソードと言えば、極深煎り焙煎が人気の珈琲屋『周波数』のBGMで流れて来て、思わず店主の小原瑠偉君にハイタッチしたこと。
鼻ピアスがチャーミングな女性ボーカリスト、ナッナ・ブリンディスをフィーチャーしたこの曲。ストリングス、そして淡々と続くピアノのループ。決して華やかじゃない。でも心を捉えて離さない。このアルバム全体の世界観が好きですが、推しは「Particles」と、次に収録されている「Doria」。この2曲のターンが来ると心の中で(うぉおお)と喜びの雄叫びを上げます。MVも素晴らしいので、ぜひモーニングコーヒー片手にお愉しみ下さい。
アルバム『Island Songs』収録。

Sunday Night

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Title.
Respite
Artist.
Goldmund
アップル、フェイスブック、グーグルなど企業CM楽曲を制作しながら、様々な名義を使い分けジャンルの異なる作品を発表しているキース・ケニフ。ゴールドムンド名義のリリースではポストクラシカルの香りが多く漂います。どうも私はゴールドムンドサウンドが好きらしい。
定期演奏会を主催して下さっている音楽小ホール『白読』で、演奏会後のBGMとしてゴールドムンドがかかると、私は決まって主の麗子さんに「これ誰ですか?」と尋ねていることが判明しました。麗子さんはその都度笑いながら「美帆さん。ですから、以前にもお伝えしたようにゴールドムンドです」と答えてくれる。『白読』での定演は日曜日の夜に行っていますが、ここには世界最高峰であるC.ベヒシュタインのアップライトピアノがあり、このピアノを奏でている時間は私にとって「Respite」という曲名と同じく「息抜き」とか「束の間の解放」と言える時間。ゴールドムンドの「Respite」は、ピアノとストリングスで構成された3分間のインストゥルメンタル。鍵盤から手を離した瞬間に生まれるハンマーの打弦音も心地良くお勧めです。
アルバム『The Time It Takes』収録。



&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

音楽好きの“選曲家”たちが月替わりで登場し、土曜の朝と日曜の夜に聴きたい曲を毎週それぞれ1曲ずつセレクトする人気連載をまとめた「&Music」シリーズの第2弾。 23人の選曲家が選んだ、週末を心地よく過ごすための音楽、全200曲。 本書のためだけにまとめた、収録作品のディスクガイド付き。

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聖歌隊CANTUS主宰 太田 美帆

東京都出身。8歳で出逢った「聖歌」に心震わせ、音楽家を志す。福岡のギャラリー、うつしきより『共鳴』『嬉々』2枚のアルバムをリリースするが、甲状腺癌により一時的に声を失う。自己流ボイストレーニングを経て復帰。ピアノの小松陽子、ヴァイオリンの根本理恵と共にクラシック音楽ユニット'adagio'もスタート。ギタリストPaniyoloとも活動中。一男一女のシングルマザー。クリスチャン。

instagram.com/ura.cantus

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