MUSIC 心地よい音楽を。
土曜の朝と日曜の夜の音楽。 今月の選曲家/堀内隆志 vol.1August 06, 2021
August.06 – August.12, 2021
Saturday Morning

デヴィッド・バーンとスパイク・リーがタッグを組んだ映画『アメリカン・ユートピア』は、コロナ禍の窮屈な状況にあって音楽やポップアートの素晴らしさを再確認でき、観ている自分たちも勇気をもらえた傑作でした。バンドメンバーの一人でNY在住フランス人のステファン・サンファンはリオデジャネイロに住んでいたこともあり、彼の音楽性にはブラジル音楽のエッセンスがかなり色濃く反映されています。そんな彼が率いるサンバクールは1960年代中頃にブラジルで全盛期を誇っていたサンバとジャズを融合させたサンバジャズのスタイル。ソウルの有名曲「ラブリー・デイ」を、生き生きと気持ちの良いグルーヴ感でカヴァーしています。「さぁやるぞ」という気分にさせてくれる夏の土曜の朝に聴きたくなります。
アルバム『Stéphane San Juan & Sambacool 』収録。
アルバム『Stéphane San Juan & Sambacool 』収録。
Sunday Night

予想以上に日焼けをしてしまって赤く熱を持った身体にローションを塗りながら、ちょっと後悔してしまう夏の日曜の夜アルアル。火照った心もクールダウンしたいときに聴きたくなるのがブラジルのリオデジャネイロを拠点に活動をしている歌手マームンヂのハスキーで気だるい歌声と沁みるメロディーが見事にハマっている「テンポ・プラ・アマール」。曲名を日本語訳すると愛すべき時間。そんな少しの後悔も短い夏が終わってしまえば愛おしくなるものです。あんなに待ち遠しかったのに、いざ来てしまうと「暑い暑い、早く涼しくならないか」と言われてしまって少し気の毒な季節ではありますが、終わってしまうと寂しくなるのも夏特有ですね。今年は程々に夏を楽しんでいます。
アルバム『Para Dias Ruins』収録。
アルバム『Para Dias Ruins』収録。
「カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ」マスター、ロースター 堀内 隆志

鎌倉の「カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ」のマスター兼ロースター。カフェ業の傍ら、ブラジル音楽関連のコンピレーションの選曲や監修、ラジオ番組でトーク。趣味はコーヒーミル集めとプロレス観戦。著書に『コーヒーと雑貨と音楽と』(NHK出版)、『コーヒーを楽しむ。』(主婦と生活社)等。選曲したアルバムは50枚以上あり、ランブリングレコーズよりリリースされている『鎌倉のカフェから』シリーズはロングセラーを続けている。またFMヨコハマ日曜朝の『SHONAN, by the Sea』でCOFFEE&MUSICというコーナーを2016年より担当。コーヒー淹れて、焙煎して、選曲して、喋っているマスター。