LIFESTYLE ベターライフな暮らしのこと。
春夏秋冬、緑を育てるときにやらかしがちなこと。May 01, 2022
植物の様子を汲み取っているはずなのに、どうにもうまく育たない。良かれと思い世話したことや、無意識に行ったことが不調の原因かも?楽しいボタニカルライフのために、育成の基本と春夏秋冬の失敗例を専門家が解説。
植物の不調を避けるために
意識すべき3つのこと。
『プロトリーフ ガーデンアイランド玉川店』店長の佐藤健太さんが教えてくれた植物育成のポイントは、大きく分けて3つ。
「『水やり・日照・風通し』を意識しましょう。『水やり』は、一度にたくさんの水をあげること。そのタイミングは植物によるので、購入時に必ず確認を。また、室内の観葉植物の場合、冬の乾燥する時季には葉水をするのも効果的です。『日照』は、植物のエネルギーを作る光合成に欠かせませんね。ただし、“日照=直射日光”ではありません。強い紫外線は葉焼けの原因にもなる。窓越しやカーテン越しくらいの淡い光で十分です。最後に『風通し』。室内の籠もった空間では、水やりの後に湿った土がなかなか乾かずカビが生えたり、根腐れを引き起こす場合も。換気を心がけましょう」
植物がよりよく育つ環境は、人間が快適と感じる環境とほとんど同じ。植物がよく育つように、気持ちいい部屋にしておこう。
風通しは悪いけど、そのまま育ててよさそう。
彩りが欲しくて、トイレにグリーンを飾っている。意外に調子はよさそうで、このまま春へ突入だ。「多くの植物にとって春はいい季節であるのと同じように、病害虫も動きだす時季。特に風通しが悪い場所のグリーンに付きやすいので注意が必要です。柔らかい新芽を好むので、なおさら春はリスクが高い。トイレのような籠もった場所は避けて、リビングなど風通しのよい広い空間に移動してあげましょう」
弱っていそうだから肥料をあげてみるか。
我が家のエバーフレッシュに突然の不調がやってきた。葉は変色、乾燥してパリパリに。その上どんどん葉が落ちていく……肥料をあげて様子を見てみようか。「心配になる気持ちはわかりますが、それは不調ではなく自然のサイクルです。3月から6月くらいの間は、多くの観葉植物にとって”葉替え”の時季。人間における代謝のようなもので、また葉が生えてきます。肥料は栄養過多になるので不要です」
生き生きと元気な夏のうちに植え替えだ。
夏になり成長真っ只中のバラ。このままだと鉢じゅうに根を張り巡らせて窮屈になるのではないか? 成長を妨げないよう、今のうちに大きな鉢に植え替えよう。「活動中に植え替えたほうがいい品種もあります。ただし、バラやブルーベリーをはじめ落葉樹などの一部の品種は別。成長期に根っこに触ると調子を崩してしまうこともありますので、葉が落ちて休眠する冬場に植え替えましょう」
買い物に疲れたから、車に置いて休憩しよう。
車を走らせ園芸店へ。店内を巡りお気に入りの植物を見つけた頃には、体はヘトヘトだ。買った植物は車に置いて、喫茶店にでも入って一息つこう。「夏場の屋外に停めた車の中は、人間でも命に関わるほどの暑さになりますよね。こんなところに植物のポットを、特に5号以下の小型のものを置きっぱなしにすれば土の中の水分はあっという間に高温になってしまいます。グリーンにお湯は大敵です」
秋も同じ土に新しい苗を植え付けてみよう。
待ちに待った秋、ガーデニングシーズンが到来。多くの植物にとって植え替えにいい時季。夏までうまく育ったプランターの土なら、そのまま使っても問題ないはず。「残念ながら一度根が張った土に栄養はあまり残っていません。それどころか雑草の根や虫の卵が潜んでいる可能性もあります。一度使った土は替えるのがベター。再利用するなら古土に改良剤を混ぜるか、あるいは天日干ししてから使いましょう」
きれいだから冬まで大切にキープ。
秋冬と花を咲かせ続けるビオラやパンジー。"切り戻し"をしなきゃいけないと聞いたことがあるけれど、花がきれいなこの時季はそのままでいいよね? 「実は切り戻すタイミングは、花が咲き始めた9月、10月頃なんです。心を鬼にして切り戻せば、冬にはおよそ2倍の花が咲き、初夏まで花期が続くことも。切り戻さないまま冬を迎えると茎が伸びきって、だらんと締まりのない株になってしまいます」
可愛くて、葉が落ちてきたけど水やりしたい。
可愛がってきた塊根植物の葉が落ちてきた。そろそろ休眠期かな? とはいえ、水を全く与えないのも気が引ける。少しだけ水を……。「この時季の塊根植物への水やりはかなりハイリスク。葉が落ちているために蒸散できず、水は鉢内にとどまり根腐れを引き起こすことも。『水切り』といって、全く水やりをせずに冬越しする方法もあるくらいですので、この時季の水やりはグッと我慢してください」
寒いけど夜にあげちゃおう。
仕事に追われて水やりを忘れてた。プランターを覗くと土はカラカラ。明日の朝まで持ち堪えるか不安だから、夜に水やりをしておこう。「冬場の水やりは日中が基本です。夜は水が根を冷やしてしまうし、翌朝に霜が降りることも。そうなれば、根が水を吸えなくなってしまいます。植物が脱水症状を起こすかもしれませんが、夜に水をあげるくらいなら、次に日中に水やりできるタイミングを待ちましょう」
illustration : Hiroko Shono text : Ryota Mukai
*2022年4月20日発売『&Premium』6月号「花を飾る、緑と暮らす。」より。
『プロトリーフ ガーデンアイランド玉川店』店長 佐藤 健太
YouTube『PROTOLEAF CHANNEL』でも育て方を解説。
▽東京都世田谷区瀬田2−32−14 玉川髙島屋S・C ガーデンアイランド2F ☎03−5716−8787 10時〜20時 元日のみ休