MUSIC 心地よい音楽を。

ライター・竹田ダニエルさんが選ぶ土曜の朝と日曜の夜の音楽。vol.1September 01, 2023

September.01 – September.07, 2023

Saturday Morning

Title.
3AM
Artist.
HAIM
遊び疲れた金曜日。曖昧な意識の中でも、「あの人」がいなくて満たされない虚無感が残る。当然終電も逃し、かろうじてタクシーを捕まえて家に帰る。気づけばもう土曜の朝3時、あと少しで外も明るくなり始める頃。そんな時間でも、「あの人」からの連絡を待ってしまうし、もし連絡があった時のことを考えて、とてもじゃないけど寝られない。会えなかったとしても、もし会えた時のことを考えるだけで、心が踊ってふわふわとした気持ちに浸れる。そんな大人のもどかしい、焦燥感を抱いた恋心を歌詞と音像で描き出したHAIMの「3AM」は、どこか歯痒い週末の始まりの朝に寄り添う。
アルバム『Women In Music Pt. III』収録。

Sunday Night

Title.
Whoa
Artist.
Snoh Aalegra
懐かしくもあり、新しくもあり、甘く、苦く、高揚感も切なさも全て表現する「恋愛ソング」の女王、Snoh Aalegra。ネオソウルやジャズ、ヒップホップのエッセンスを混ぜたスタイルはSadeからの系譜を感じる人も多いだろう。失恋や未練ではなく、純粋に愛情だけで溢れた楽曲を、ここまでも豊かな表現で作りあげられる技術に脱帽だ。ゆったりとしたテンポ、シルキーな歌声、壊れそうなほどに愛しくて、空を飛べそうなほどに舞い上がった恋の感情を映し出す、紛れもない名曲。一人でも、愛する人と一緒でも、ワイングラスを片手に、日曜日の夜にゆったりと揺れたくなる。まさに「酔いしれる」音楽として、一音ずつに没頭して楽しんで欲しい。
アルバム『- Ugh, Those Feels Again』収録。



&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

音楽好きの“選曲家”たちが月替わりで登場し、土曜の朝と日曜の夜に聴きたい曲を毎週それぞれ1曲ずつセレクトする人気連載をまとめた「&Music」シリーズの第2弾。 23人の選曲家が選んだ、週末を心地よく過ごすための音楽、全200曲。 本書のためだけにまとめた、収録作品のディスクガイド付き。

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ライター 竹田ダニエル

1997年生まれ、カリフォルニア出身、在住。「音楽と社会」を結びつける活動を行い、日本と海外のアーティストをつなげるエージェントとしても活躍する。2022年には、文芸誌「群像」での連載をまとめた初の著書『世界と私のA to Z』(講談社)を刊行。9月28日頃に『#Z世代的価値観』(講談社)を発売。そのほか、現在も多くのメディアで執筆中。

twitter.com/daniel_takedaa

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