BOOK 本と言葉。

本屋が届けるベターライフブックス。『茨木のり子詩集 落ちこぼれ』茨木のり子 著 水内喜久雄 選・著 はたこうしろう 絵 (理論社) 選・文 / 葉々社 / September 22, 2022

This Month Theme“大人になること”を教えてくれた本。

ochikobore

詩人の茨木のり子さんは、葉々社の近くにある東邦大学の出身である。彼女が1943年に入学した当時は、帝国女子医学薬学専門学校という名前だった。代表作はいくつもあるが、私は「自分の感受性くらい」がいちばん好きだ。この詩のなかで彼女は、人のせいに、友人のせいに、近親のせいに、暮らしのせいに、するなと説く。人はだれもが失敗するとその理由を自分以外に求めてしまいがちだが、大人になるとそうはいかない。自らの発言や行動には必ず責任が伴うからだ。本書には書名にもなっている「落ちこぼれ」をはじめ、「わたしが一番きれいだったとき」「私のカメラ」「倚りかからず」ほか、全33篇の詩が収録されている。時代を越えて読み続けられている本書のなかからお気に入りの一篇を探してみてはいかがだろうか。


BOOKSHOP 葉々社

京浜急行梅屋敷駅から3分ほどの場所に2022年4月にオープン。店主はカメラ雑誌の編集者をしていた小谷輝之さん。新刊&古本を扱い、主に人文、社会科学、自然科学、文学、詩・言葉、写真、デザイン書をセレクトしている。店の奥には小上がりがあり、座って本を選ぶことができる。 住所:東京都大田区大森西6–14–8–103 営業時間:10:00 - 20:00 定休日:火

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