BOOK 本と言葉。
本屋が届けるベターライフブックス。『牧野富太郎 なぜ花は匂うか』牧野富太郎 著 (平凡社) 選・文 / 汽水空港 / May 13, 2021
This Month Theme花や緑とともに暮らしたくなる本。
「日本植物学の父」といわれる牧野富太郎。この人物の植物への尋常ではない愛はどこから湧いていたのか。特定の樹木や草木だけではない。その愛はあらゆる植物全般へ注がれている。ひとつひとつの植物を描写する様はまるで恋に落ちた少年のようだ。「何故あんなに綺麗なのでしょう」「抱きしめたい」等と語り、「あなた方はただなんの気なしに見過ごしていらっしゃるでしょうが-」と、植物の魅力に気が付かぬ者を非難する程だ。実際、恋に落ちていたようで、彼は自身を「植物の愛人」と呼ぶ。夏、草木が最も繁茂する季節には、世界を「無上の楽園」と形容している。偉大な賢者に対して大変失礼ではあるが、変態ではないかと思いながらこの本を読んだ(褒めてます)。
汽水空港 汽水空港
鳥取県の中央に位置する東郷湖に面した新刊・古書を取り扱う本屋。汽水湖のほとりにあったおもちゃ屋の倉庫を自ら改装、増築してつくった店舗。裏には3坪の小屋をセルフビルドし、ギャラリーとして展開している。店内ではチャイやコーヒーを楽しめるカフェスペースも。
住所:鳥取県東伯郡湯梨浜町松崎434−18
営業時間:13:00~19:00 水・木定休