BOOK 本と言葉。
『すぐそばの工芸』三谷龍二 著(講談社) 選・文/本屋ルヌガンガBook 127 / August 10, 2018
This Month Theme心地よい暮らしを感じる本。
手触りや質感といったテクスチャーに対する偏愛こそ、日本の工芸を形作ってきました。それは工芸が、使う人の「心地よさ」に寄り添い、生活の中で磨き上げられてきたからこそ。本書は木工作家・三谷龍二が、親密かつ深みのある筆致で、生活工芸の哲学と美学、そして現在地を伝える一冊。生活工芸は、仰々しい「作品」という枠組みから遠く離れて、余白を残した、静かな佇まいをしています。その控えめな美しさを発見し、工芸の持つ余白を埋めるのは、きっと使い手の感受性です。本書を読むと、工芸の世界の奥深さを存分に味わうため、自分の感受性を磨きたいものだ、と背筋がしゃんとしてくるのです。
lunuganga 本屋ルヌガンガ
読む前から「それが何の役に立つのか」が明らかな本ではなく、純粋にその言葉の「肌触り」を味わえるような本であると同時に、読み終わった後に世界の風景が少し変わってしまうような本を届けている。
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