BOOK 本と言葉。
『向田邦子の恋文』向田和子 (新潮文庫)Book 07 / January 01, 2016
This Month Themeふだんの食卓を思いかえす本。
向田邦子の遺品の中から見つかった、秘密の恋の痕跡。送り合った手紙の中には、日々の些末なことがらや、互いへのいたわりの言葉が並んでいる。会えない日々の記憶を共有するための手紙。N氏の日記には、「5時 邦子来る」。といった記述と、その日の献立がしばしば書いてある。障害のある恋だったそうだ。合間を縫っては彼の元に通い食卓の用意をする、そんなささやかなことが二人の一番の幸せだったのだと思うと、胸がつまる。
Daidai Shoten 橙書店
店主の田尻久子が2001年に雑貨&カフェ〈orange〉を開店後、2008年に店の隣にオープン。エッセイ、小説、絵本、料理、写真集などジャンルはさまざま。旅先でふと出会う人や風景のように本と出会える本屋だ。
熊本県熊本市中央区新市街6-22