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Nagasaki Jiro Bookstore 長崎次郎書店


Book 67 / May 12, 2017 『季節のかたみ』 幸田文(講談社文庫)

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季節の移り変わりの小片を綴った、幸田文の随筆集。日々の変化を楽しみ、目の前のものの美しさおもしろさを見出す視点を、父・露伴は幼い頃から教えてくれたという。しかし彼女の言葉の美しさは、父の指導によるものだけではない。彼女の言葉には、暮らしに腰を据え、そこから眺めた世界が広がっている。とどまることのない季節の巡りは現実の上に立つ身の救いになる。その喜びを清々しい言葉で私たちに示し、新しい一日へと送り出してくれる。


Book 66 / May 05, 2017 『作家の珈琲』(平凡社)

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一日のはじまりにコーヒーがあったら申し分ない。25人の作家たちはどのようにコーヒーを嗜んでいたのか。本人や関係者の文章がちょうどいい分量で紹介され、書斎や仕事場、行きつけの喫茶店、好きだったメニューや自筆の原稿などの写真も贅沢に掲載された愉しい一冊。作家のコーヒーカップを真似てみたり、まだ見ぬ喫茶店を探訪してみると、違いがわかる一日が始められるかもしれない。


Book 65 / April 28, 2017 『MINE-HAHA』フランク・ヴェデキント著 市川実和子翻訳(リトルモア)

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ドイツの劇作家フランク・ヴェデキントの小説を市川実和子さんが翻訳。“ミネハハ=笑う水”というタイトルを持つ、謎に包まれた不思議な物語。閉ざされた庭園で暮らす少女たちは一体どこから来てどこへ行くのだろう。木漏れ日や、光が透けた葉の色、空気や静寂、そして少女たちの息づかいまでも、まるで自分がそこに身を置いているかのような瑞々しい感覚で表現される。白昼夢を見ているような感覚になるけれど、瞼の奥には確かな生命を感じる。まぶしい光で目覚めた朝に読みたい本。


Book 64 / April 21, 2017 『折々のうた』大岡信(岩波新書)

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朝に読むことばはできるだけシンプルなものがいい。新聞連載一年分をまとめた本書は、季節ごとの俳句や短歌、とりどりのことばで溢れている。大伴旅人、在原業平、与謝野晶子……。そのまま楽しむにはハードルが高いものもあるかもしれないけれど、大岡信さんのわかりやすい解説に橋わたしをされて、100年前の句や詩歌にも親しむことができる。きょうのはじまりにぴったりの言葉を見つけて、大切な人の近くにポンと置いてみた。教えたりせずに、すすめたりせずに、自然にまかせる。一瞬で何かをすきになっていくのを見ているのもまたいいものだ。


Nagasaki Jiro Bookstore 長崎次郎書店

明治7年に創業した長崎次郎書店は、長崎書店(熊本市中央区上通)の兄弟店。保岡勝也が設計した登録有形文化財である建築で、森鷗外をはじめとする文豪ゆかりの書店として親しまれている。長い歴史と貴重な建物を持つ書店は、創業140年目の節目に再開店。地域の人に愛され、人が集まる場所となっている。
http://www.nagasaki-jiro.jp/ 熊本県熊本市中央区新町4丁目1−19