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Book

Daidai Shoten 橙書店


Book 08 / January 08, 2016 『食べごしらえ おままごと』 石牟礼道子 (中公文庫)

&Premium 食べごしらえ おままごと 石牟礼道子

「食べることには憂愁が伴う」。冒頭の言葉にどきっとする。食にまつわる随筆でありながら、その奥行きの深さと登場人物の魅力に、すぐさま引き込まれる。生まれたばかりの赤子が死んだ正月、幼子だった道子は、はじめての食べごしらえをする。小さな手で米を研ぐ姿に、人々の顔に笑みがひろがる。生と死は分断されているのではなく、その営みの中で連綿と繋がっている。生きることは食べることであると、改めておもう。


Book 07 / January 01, 2016 『向田邦子の恋文』向田和子 (新潮文庫)

&Premium 向田和子 向田邦子の恋文

向田邦子の遺品の中から見つかった、秘密の恋の痕跡。送り合った手紙の中には、日々の些末なことがらや、互いへのいたわりの言葉が並んでいる。会えない日々の記憶を共有するための手紙。N氏の日記には、「5時 邦子来る」。といった記述と、その日の献立がしばしば書いてある。障害のある恋だったそうだ。合間を縫っては彼の元に通い食卓の用意をする、そんなささやかなことが二人の一番の幸せだったのだと思うと、胸がつまる。


Book 06 / December 25, 2015 『だいどころ』山崎るり子 (思潮社)

&Premium 山崎るり子 だいどころ

人生に台所はつきものだ。芋のにっころがしの匂いが豊かに流れる日もあれば、不穏な空気が流れる日もある。昨日までいた人の不在が一番心につきささる場所。家族勢ぞろいの食卓、排水口にひとり叫ぶ夜、息子の命日の炊き込みごはん。詩人が描く台所という場所。こらえきれない悲しみを抱えても、人はいつかお腹がすく。生きている限り。日々、そんな台所に立ち続ける著者の声だからこそ、その言葉は私達の心をゆさぶる。


Book 05 / December 18, 2015 『料理=高山なおみ』高山なおみ (リトル・モア)

&Premium 高山なおみ 料理

高山さんのレシピ本はたくさんあるが、この本には、彼女自身を形作る素材のようなものが散りばめられている。レシピ本でありながら、そこにあるのは彼女の記憶。読んだ本、交した会話、嗅いだ匂い、それらのすべてが料理にしみこむ。最後の頁にはこう書いてある。「今日は何が食べたいか、自分の心と相談しながら、コンビニでじっくりお弁当を選ぶのも料理だと思う」。この言葉のおかげで、心が軽くなる人がきっといる。


Daidai Shoten 橙書店

店主の田尻久子が2001年に雑貨&カフェ〈orange〉を開店後、2008年に店の隣にオープン。エッセイ、小説、絵本、料理、写真集などジャンルはさまざま。旅先でふと出会う人や風景のように本と出会える本屋だ。▷熊本県熊本市中央区新市街6-22
http://www.zakkacafe-orange.com/