BOOK 本と言葉。
『だいどころ』山崎るり子 (思潮社)Book 06 / December 25, 2015
This Month Themeふだんの食卓を思いかえす本。
人生に台所はつきものだ。芋のにっころがしの匂いが豊かに流れる日もあれば、不穏な空気が流れる日もある。昨日までいた人の不在が一番心につきささる場所。家族勢ぞろいの食卓、排水口にひとり叫ぶ夜、息子の命日の炊き込みごはん。詩人が描く台所という場所。こらえきれない悲しみを抱えても、人はいつかお腹がすく。生きている限り。日々、そんな台所に立ち続ける著者の声だからこそ、その言葉は私達の心をゆさぶる。
Daidai Shoten 橙書店
店主の田尻久子が2001年に雑貨&カフェ〈orange〉を開店後、2008年に店の隣にオープン。エッセイ、小説、絵本、料理、写真集などジャンルはさまざま。旅先でふと出会う人や風景のように本と出会える本屋だ。
熊本県熊本市中央区新市街6-22