Water南アルプス「水の山」通信

vol.7 / May 19, 2017 山梨・北杜より新しい形の南アルプスの農業。

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明野菜園でできたトマト。程よい糖度、酸味、水分がベストマッチしたみずみずしいトマトだった。

かつては夏野菜として知られていたトマトは、農業技術の発達によって、いつでも食べられる存在となった。そのトマト栽培が、北杜市明野町でさらなる進化を遂げている。

日本有数の日照時間を誇る明野町、標高700mを超える場所にトマトを生産する明野菜園の温室があった。温室は130・5m×148mという広大な規模で高さは7m。この中でトマトを養液栽培している。使用する水は、地下からくみ上げた南アルプスの天然水だ。

ここではオランダ製の半閉鎖型温室と、温・湿度やCO2濃度を制御するソフトを使用している。オランダは九州ほどの狭い国土を有効に活用し、EU市場を中心に花や野菜を輸出する施設園芸先進国。「だけど、人間が農園の植物を観察し、経験も使ってトマトを作っているんですよ」と、オーナーの藤巻眞史さんは言う。

技術・経験・環境が融合したすごさを、収量が証明している。日本のトマトの平均収穫量は10アールあたり10~20t。しかし、ここではなんと75t。まだまだ増える可能性があるという。藤巻さんは大豆と豆腐を作る会社も経営しているが、その経験を生かし北杜市でトマト生産を始めた。なぜ、この土地だったのだろう。
「日照量も日本一ですが、なによりきれいな天然水を使って生産できることです。南アルプスの山々があるから、雪や雨が降り、水が生まれる。それにここは縄文時代から人が住んでいた場所。そもそも人が住みやすい、よい場所なんですね」


今月の人/菜園オーナー

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Shinji Fujimaki 藤巻眞史

農業生産法人・アグリマインド代表取締役会長。2006年より大豆の栽培から豆腐の製造販売まで一貫して手がける。’14年、明野でトマト栽培を開始。「これからは若い人が農業に入ってこられる環境をつくらないとね」。
アグリマインド ☎0551−2‌5−0831
 
photo : Koh Akazawa text : Hideki Inoue edit : Akio Mitomi