Interior

9坪の家に小さな改修を重ねて今のカタチに。会社員、ないとうしのぶさんの暮らし。April 20, 2024

駐車場を兼ねた前庭には紅葉を植えて。「昨年、車のサイズが変わって、楽に駐車できるよう、郵便受けの位置を移動しました」
駐車場を兼ねた前庭には紅葉を植えて。「昨年、車のサイズが変わって、楽に駐車できるよう、郵便受けの位置を移動しました」

小さな改修を重ねて今のカタチに。

 20年ほど前、当時、飼っていた猫が快適に暮らせるようにと、ないとうしのぶさんの家づくりは始まった。

「当時はかなり仕事が忙しく、私自身、リラックスできる空間が欲しかったんです。マンションも考えましたが、戸建てなら、隣人にそう気を使わずに過ごせそうで。庭や屋上で緑を育てられることも魅力でした」

 見つけたのは、都心の閑静な住宅街の、55㎡と決して広くはない土地。

「駐車場分を除くと、建築面積は29㎡(9坪)しかありません。でも、設計をお願いした建築士の西久保毅人さんから、1階を半地下状態にし、2階にはロフトを設ける提案をしてもらったら、猫も縦横無尽に走り回れ、楽しく暮らせそうだなって」

 外階段を上ると玄関があり、開ければ、ダイニングキッチンとリビングのあるメインフロアに。リビングの頭上には件のロフト、前の通りに向かって突き出すように畳敷きの小上がりがあり、窮屈さは皆無。

リビングからキッチンを望む。「海外のインテリア雑誌で見かけた『壁を一面、本棚にして、いろいろなものを置く』はやってみたかったんです」
リビングからキッチンを望む。「海外のインテリア雑誌で見かけた『壁を一面、本棚にして、いろいろなものを置く』はやってみたかったんです」
水回りは寝室と同じ半地下にまとめた。足台に乗らないと届かないほど洗面台を高くしたのは、下に洗濯機をしまうため。タイルや壁の色は一度変えている。
水回りは寝室と同じ半地下にまとめた。足台に乗らないと届かないほど洗面台を高くしたのは、下に洗濯機をしまうため。タイルや壁の色は一度変えている。
ベッドの下には、収納を造作。
ベッドの下には、収納を造作。

「この小上がりは、建築当初、テラスだったんです。猫たちがよくひなたぼっこをしていました。でも、犬も飼い始めたら、手狭になってきた。ちょうど、日本の文化である畳の部屋を作ってみたかったタイミングでもあって、改修を決めました。手前の障子を引けば小部屋のようになるので、母が泊まりに来たときにはここに布団を敷いて寝てもらいます」

 こんなふうに小さな改修を繰り返して今のカタチに至り、「戸建ては自由に変えられるのがいい」と話す。

「働き方や趣味、興味の移ろいに応じて、家に求めるものが変わるのは自然なこと。しなやかに対応したい。でもそのなかで、毎週フキンを漂白するとか、季節ごとに果物や野菜を干すといったルーティンを持って、暮らしの整頓を心がけています」

ロフトがあるので、リビングの天井の高さは4 mを超す。その分と、小上がりの開口部分で、空間に伸びやかさが生まれ、狭さを感じない。
ロフトがあるので、リビングの天井の高さは4 mを超す。その分と、小上がりの開口部分で、空間に伸びやかさが生まれ、狭さを感じない。
3 層構造プラス屋上。省スペースのため玄関は小さめ。屋上に上がる階段も外に設けた。バスタブの置き場は階段下スペースを活用。
3 層構造プラス屋上。省スペースのため玄関は小さめ。屋上に上がる階段も外に設けた。バスタブの置き場は階段下スペースを活用。
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ないとうしのぶ会社員

ミニチュアダックスフント1 匹と暮らす。八ヶ岳に薪ストーブとドッグランのある、山の家も所有。そちらに移住するのが夢。

photo : Mai Tanaka edit & text : Koba.A

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