使いやすく、片付けやすい、心地いい台所の仕組み。
整理収納コンサルタント、本多さおりさんの、 少ないアクション、思いつきで掃除しやすい台所。後編:使いやすく、片付けやすい、心地いい台所の仕組み。December 15, 2022
科学的かつ論理的思考で料理する料理家と、ズボラでも掃除を楽に楽しむ術を体得した整理収納コンサルタント。セオリーに基づいて整頓されたふたりの台所から、使い勝手をよくする仕組みを学ぶ。
Tips 21 床拭きは 通りすがりに済ませる。
(写真手前の)洗濯機脇をフローリングモップ、通路途中にある棚を替えシートとゴミ箱の置き場に。手前でモップを手に取り、掃除しながら進み、Uターンして途中でシート交換、ゴミ捨てを完了して戻ってくる動線を想定した。「通るたびに掃除です」
Tips 22 ものは箱でまとめて 拭き掃除を楽にする。
用途が同じものは箱でまとめておくと、取り出しがワンアクションで済むが、これは棚の掃除の際も同様。「棚板のホコリを拭きたいとき、そこに並ぶものをひとつひとつどかすことほど億劫なことはありません。箱なら片手でパッと持ち上げるだけ」
Tips 23 替えのゴミ袋は ゴミ箱の底にしのばせる。
動線を考慮して、台所には大小のゴミ箱が点在。かつそれぞれの底にサイズの合う交換用ゴミ袋を準備してある。「ゴミ袋を取りに行く、別の引き出しを開けて取り出すといった動作をなくしました。扱いやすいのは折り畳みやロールタイプのゴミ袋」
Tips 24 ストックは種類、残量が ひと目でわかるように。
必要なときにない、買ってきたのにまだあった、違っていた。そういう台所仕事の無駄に繋がる日々のつまずきを解消するには、ストックの全貌を把握することから。「例えば保存袋ならこんなふうにサイズまで記したラベルを貼って仕分けし、見える化」
Tips 25 換気扇やコンロの掃除は 食洗機に頼る。
排水口かご、五徳、換気扇のファンなどの掃除は「食洗機を回そうというタイミングで、スペースに空きがあるときがチャンス。こういうものこそこまめにまとめ洗いして、汚れを溜めない。洗剤は湯と好相性な過炭酸ナトリウムを使用」。
Tips 26 排水口は拭き掃除の ついでにウエスで。
TIPS 15で使ったシートや、拭き掃除などに使ったウエスで最後に拭うのが排水口。「ウエスもシートも表で拭いたら裏に返し、次は畳んで……と"もったいないからついでに拭く"を繰り返しながらここに到着。水洗いよりすっきりし、手も汚れません」
Tips 27 床に置くものには キャスターを付ける。
整頓のためにはこまめな掃除や整理がカギになるが、時にその意欲を阻む、動かす、どかす、持ち上げるを簡単にしてくれるのがキャスター。「床に設置するゴミ箱や収納ケースなどにはキャスターを付けて。パッと滑らせてササッと掃いたり拭いたり」
少ないアクション、思いつきで掃除する。
歩かない工夫で炊事や仕事の
面倒さを回避。
実は料理に少しばかり苦手意識があるため、せめて使いやすくすれば、楽しく台所に立てるはずと工夫をこらしています。他のどの家事よりも使う道具が多く、ゴミも汚れも出るのに、清潔を保たなければいけない場所。ともすると「面倒」と感じる場面に直面しがちです。それで作業の工数を徹底的に減らし、面倒さを回避しています。
テーマはずばり「歩かない」。例えば、洗った食器を拭いて、別の場所にある食器棚まで行き、扉を開けてしまう。洗ってからしまうまでにいくつもアクションがかさむのはストレスです(ズボラ!)。調理中に出たゴミをまとめ、振り返って背中側に置いたゴミ箱に捨てるのは? 途中ぽたぽたとしずくが落ちるのがストレス。でもゴミ箱がキャスター付きで、台所に立つ自分の足元に寄り添わせることができたなら、問題解決です。手を伸ばせば届く、歩くなら数歩程度で仕事が完了。そんな発想で道具を選び、配置を決めています。
壁づけで、手前から洗面、洗濯室、台所とデスクまでが並んでいるのも意図したもの。そのまま他の部屋を抜けて玄関に戻れる回遊式間取りで、他の家事のついでに、あるいはしながら、台所仕事ができます。真横で洗濯物を畳みながら冷蔵庫の中身をチェックし、棚を整理しに行きがてら、モップで床を拭くといった具合に。
マメ=大変ではありません。年一度の大掃除となるとプレッシャーになり気が重い。思いついたときや何かのついでにする掃除を習慣にできればいいんだと思います。
本多さおり Saori Honda 整理収納コンサルタント
家事が段取りよく、ストレスなく進むことをテーマに掲げて活動。2010年に整理収納アドバイザー1級、2011年に整理収納コンサルタント資格を取得。著書に『暮らしをまわす』(X-Knowledge)など。
photo : Mai Tanaka edit & text : Koba.A