台湾スイーツ食べ比べ

ふるふる食感のレトロな台湾菓子「涼糕 (リャンガオ) 」。【&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ 】June 20, 2022

「涼糕」
「涼糕」はどこか懐かしさを覚える台湾の郷土菓子。葛餅やゼリーのように見えるが、葛餅よりも弾力性があり、ゼリーよりは柔らかい。原料となるサツマイモ粉や樹薯粉(キャッサバ粉)に水や砂糖を加えて煮込み、粘り気が出たら火を止める。そして、冷ました後に切り分ける。最後に煎った片栗粉をまぶすと出来上がりだ。涼糕は2種類あり、一つはピンクや黄色、オレンジ色をしたフルーツ味のキャンディサイズのもの。もう一つは半透明な生地に小豆餡や緑豆餡などを挟んだもの。どちらも甘さは控えめだ。ちなみに涼糕を扱う店は少なく、今回紹介する2軒は希少な存在だ。賞味期限は短く、常温で1日、冷蔵庫でも2、3日程度。夏場はひんやりとした状態で食べるのがおすすめ。
生地も餡もバリエーション豊かな創作系涼糕。

生地も餡もバリエーション豊かな創作系涼糕。

『京站時尚廣場』や『統一時代百貨』といった有名デパートの地下街にブースをもつ『涼食帖』。オーナーの陳健銘さんは、元々は銀行員だった。父親が40年にわたり市場へ涼糕を卸していたが、健康を害してしまい、陳さんが家業を継いだ。若い世代にも親しんでもらうべく、日々、これまでにないユニークなものを開発し、ブランド化を図っている。生地には仙草(ハーブの一種)や杏仁、ゴマ、キンモクセイを用いたものがあり、餡にはタロイモや蓮の実入りのほか、サツマイモペーストなどがある。おすすめは抹茶生地に屏東県萬丹産の小豆餡を挟んだものと、黒糖生地にねっとりと甘いサツマイモ餡を挟んだもの。食感や甘さ、生地と餡のバランスが考え抜かれており、幅広い層に人気だ。

涼食帖
リャンスーティエ

台北市大同區承德路一段1號(京站時尚廣場)B3 ☎02‒2559‒5854 11:00~21:30(金土~22:00) 無休 1個45元。タロイモ餡も人気だ。

涼食帖 リャンスーティエ
フルーツ味も餡入りも! ファン多数の人気涼糕。

フルーツ味も餡入りも! ファン多数の人気涼糕。

 建國南路の高架下にある店。簡素な作りだが、22年もの間、地元の人たちに愛され続けている。店主の施桂華さんは早朝4時から仕込みを始め、独自に編み出した手法に従い、複数の粉を使用しながら適度な歯ごたえの涼糕を作り出している。餡なしの涼糕には黒糖味のほか、パッションフルーツ味やレモン味もある。人工色素は用いず、天然果汁だけを使用。なかでもレモン味はレモン水を混ぜると生地が分離してしまうため、試行錯誤を繰り返し、完成までに1年以上を要したという。餡入りには小豆や緑豆、タロイモペースト、蓮の実入りなどがある。おすすめは濃厚な風味がたまらない黒糖生地に花豆の餡を挟んだもの。全種類が入ったパックもあるので、様々な味を楽しもう。

阿華涼糕
アーホワリャンガオ

台北市中山區八德路二段108號(八徳市場外側30番ブース) ☎02‒2711‒9287 9:00~19:00 月火水日休 1パック100元。

阿華涼糕 アーホワリャンガオ

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 102 2022年7月号「&Taipei」に掲載されたものです。


台北在住ライター・コーディネーター 片倉真理

1999年から台北に暮らす。台湾に関する書籍の執筆、製作のほか、雑誌のコーディネートなども手がける。台湾各地を隈なく歩き、料理やスイーツから文化、風俗、歴史まで幅広く取材。著書に『台湾探見』、共著に『台湾旅人地図帳』(共にウェッジ)、『食べる指差し会話帳』(情報センター出版局)など。

instagram.com/marikatakura

Pick Up 注目の記事

Latest Issue 最新号

Latest Issuepremium No. 133カフェと音楽。2024.11.20 — 960円