真似をしたくなる、サンドイッチ
ピスタチオ好き必食! チーズとバジルがクリーミーな、パリのピスタチオサンド。February 12, 2026
サンドイッチをこよなく愛するパリ在住の文筆家、川村明子さん。『&Premium』本誌の連載「パリのサンドイッチ調査隊」では、パリ中のサンドイッチを紹介しています。
ここでは、本誌で語り切れなかった連載のこぼれ話をお届け。No60となる今回は、本誌No147に登場した『ペッツォパーネ』で惜しくも紹介できなかったサンドイッチの話を。

いきなりだけれど、ナッツをよく食べる。
まず、小腹が空いたらそのままつまむし、チーズのお供にすることも多い。自家製グラノーラにはアーモンドとヘーゼルナッツを決まって加え、秋冬の野菜で作るポタージュには、食べる間際にくるみの殻を割って、生のまま散らしたりもする。そして、オイルも好んで使う。秋になると、アルプスに近い地域のくるみ農家が、収穫したばかりのくるみと、搾りたてのオイルを持って近所のマルシェにやって来るので、毎年それを買っている。
私は、ピーナッツオイルも好きで、特に、マヨネーズを作るのがお気に入りだ。
ピーナッツバターも欠かさない。無糖で、ピーナッツ100%のただペースト状にしただけのものを選ぶ。ペーストは、アーモンドとピスタチオもほぼ常備している。ピスタチオは、殻を外しながら食べるのも本当は大好きなのだけれど、ナッツの中でも高価だから、たまにご褒美気分で奮発するにとどめている。ペーストも、他のナッツに比べたら、うんと小さい瓶で売られている。自然と、掬うスプーンも小さなものになって、ここぞというタイミングで大切にいただく。
ジェラートやゴーフルに挟まれたクリーム、デザートのソースにピスタチオが使われていたならば、頼まずにはいられない。味もだけれど、色も好きなのだ。だもんだから、サンドイッチ店のメニューに"ピスタチオ"の文字を見つけて、惹かれないわけがない。おまけに、材料の一つではなく、サンドイッチの名前として掲げられていたら、もう一択だ。

チャバタを使ったイタリアンサンドの店『ペッツォパーネ』に初めて行ったのは8月の終わり。メニューには7つのサンドイッチが書かれていた。「ポルペッタ」「ピスタッチオ」「ピークァンテ」「カーチョ・エ・ペペ」「ブレザオーラ」「タルトゥーフォ」「ヴェジェ」。いちばん上のポルペッタがおそらく看板商品なのだろうと思いながらも、やっぱり最初にピスタチオを食べてみたかった。だいたい、ピスタチオサンドなんて、初めて見た。これがまた、ピスタチオづくしで、ピスタチオペーストにピスタチオ入りのモルタデッラ(イタリア発祥のソーセージ)、そしてピスタチオ丸ごと、とある。それらと一緒にストラッチャテッラ(チーズ)とバジルを挟んだものらしい。クリーミーで、同時にフレッシュで、ピスタチオのコクがあって……。味を想像しながら注文した。

ピスタチオペーストがチャバタの切り口の上下に塗られていて、食べているうちにどんどん口の中がクリーミーなピスタチオの風味に引き込まれていく。ストラッチャテッラ(チーズ)はミルクのコクを印象付けながらも、油っぽさを綺麗に取り去っていく感じがした。それでか、後味にくどさがない。
このときは、テイクアウトをして家で食べたのだが、秋が深まってから再訪して、今度はイートインにした。店から家まではメトロで40分ほどかかるのに、帰り着いた時点でまだ温かく十分においしかったから、店で熱々を頬張ったら、どんなだろうと思ったのだ。
チャバタの香ばしさが、断然際立っていた。
軽やかだけど、スカスカでもふわふわでもなくて、噛みごたえのある弾力と、サクッと焼かれた表皮のコントラストがとてもおいしい。作り立てで全体の味がそこまで馴染んでいないぶん、オリーブオイルの香りも、ストラッチャテッラ(チーズ)のジューシー具合もよりダイレクトで、だけれど、決して油っこいとは感じなかった。ピスタチオもびっちりなのに、まったく重くもないし、くどくもない。食べ終えて口の中に居残る味がなく、さらっと消えていく。後味まで含め、食べ心地が良かった。

後日、作るところを見せてもらったら、思っていた以上にピスタチオを惜しみなく塗り、散らしていた。ペーストは、実を店で粉砕して作っているという。油っこさやくどさを感じない所以は、そこにありそうだ。チャバタも、近くのブーランジュリーに特注していて、毎朝焼きたてが届けられるそうだから、やはり鮮度は大きく物を言うようだ。
ポルペッタ(ミートボール)はオーナーのおばあさんのレシピで作っていると聞いて。
それは食べないわけにはいかないなぁと思い、食べた。ピスタチオサンドはチャバタを上下に切り分けていたけれど、ポルペッタのときは、完全に切り離さず、袋状にして、そこにまずお玉でトマトソースを入れる。次にミートボール、続いてスモークしたモッツァレラを加え、最後にバジル。

やっぱり、おばあちゃんのレシピというのは、何かあるのだろう。驚くほどスイスイ食べてしまった。ぎゅぎゅっと握られた感じのミートボールは、ビシッと硬派な肉の風味が決まっているのに、どこかふわっとして、かつ、さっぱり。聞けば、牛肉に少し仔牛肉も混ぜているらしい。トマトソースも、エシャロット、玉ねぎ、バジル、パセリ、ニンニクを加えて作ったオーソドックスなものだそうだけど、すごく食べやすくて、ひと口目からしばらくはスモーク・モツァレラとトマトソースだけで食べ進めたくらい。肉じゃがで、ちょっと溶けたじゃがいもと玉ねぎと煮汁をご飯にかけて、それだけでいいっていうのに通ずるおいしさだった。
前述のとおり、本誌では、冬になって登場したコッパ(豚の生ハム)と栗のかけらが入ったコッパサンドを紹介したのだが、これも捨てがたいのだ。ハチミツの存在もポイントだと思う。甘くてしょっぱい味の組み合わせが食べたい気分の日には、こっちだなぁ。春先まではメニューに残すつもりと言っていたから、もうしばらく楽しめそうだ。
『Pezzopane』

文筆家 川村 明子















































