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中国・貴州の大きな草餅「三⽉粑」。世界のお菓子と、そのレシピ vol.3。写真と文:鶴⾒昂 (パティシエ) #3June 18, 2025
中国・貴州省の市場を散策していたら、スツールの座面ほどの大きさがある平たい餅が目に入った。

聞けば、それは柔らかな母子草を摘んで、3月の間だけ作られる草餅なのだとか。
食べやすいように、大きな餅をハサミでチョキチョキと切って袋に詰め、ヒョイと手渡してくれた。
穏やかな甘みと油のコク、そしてほのかに鼻を抜ける母子草の香りが心地よい。
日本でも昔は、よもぎではなく母子草の草餅が主流だったそうだが、口にするとなんとなく懐かしい気持ちになる。
油と砂糖のおかげで時間が経っても柔らかく、中国を長距離移動する電車のお供にもぴったりである。

〜中国・貴州で出合った、三⽉粑(サンユエバー)のレシピ〜
〈材料〉
【⽣地】
⺟⼦草…40g
もち粉…130g
⽶粉…20g
グラニュー糖…40g
熱湯…130g
⽶油…10g
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〈作り方〉
1)⺟⼦草は柔らかい若芽のみをよく洗い、塩(分量外)を加えたたっぷりの熱湯でサッと茹でる。
2)⽔気をしっかりと切り、細かく刻んでおく。
3)ボウルにもち粉、⽶粉、2の⺟⼦草、グラニュー糖を⼊れて混ぜ合わせておく。
4)熱湯と⽶油を加えて菜箸で混ぜ、ひとまとまりになったらラップをして10分置く。
5)⼿に⽶油をつけて、表⾯がつるんとするまでしっかりと捏ねる。
6)⽣地を丸めて1cm厚にのばし、⽶油(分量外)を敷いて熱したフライパンで両⾯を⾊よく焼く。
パティシエ 鶴⾒ 昂

つるみ・たかし/都内で菓⼦教室『ツルミ製菓』を主宰するほか、『TEATON』、『POPPY』、『ひやかし IPPODO TEA』などでメニューのプロデュースも⼿がける。